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「日本経済を引き上げたい」という想いから中国語チャットコマース事業に取り組む / 注目ベンチャーインタビュー株式会社人々
代表取締役 石川真也

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台湾・中国の中国語圏を中心に日系通販企業のチャットコマースを行う株式会社人々(所在地:東京都新宿区、代表取締役:石川真也)は、株式会社MTG Ventures、w2ソリューション株式会社、株式会社ITプロパートナーズ、株式会社ネットフロンティアの計4社を引受先として、総額1億円の資金調達を完了したことを昨年末に発表した。

今回は株式会社人々の代表取締役である石川真也 氏に創立以来のビジョンから、昨年末の資金調達を受けてのタイムラインなどお話を伺った。

中国語チャットコマースに注目し台湾と中国で活用

「弊社は中国語チャットコマースという事業を運営している株式会社人々です。創立5年目になるのですが、今までは越境ECを支援しておりました。去年からアジアでのチャットコマースの発展に気がつき、チャットコマース領域にフォーカスした事業に踏み出しました」

同社のサービスは主に2つに分かれる。

  1. チャットAIを活用したチャット型広告サービス
  2. チャットAIを活用したサイト離脱防止と成果報酬型広告サービス

アジアでチャットコマースが流行しており、多くのユーザーがLINEなどから商品の購入に至っているという。

同社はLINEでのチャットコマースの運用を行っており、LINEの開封率はメルマガの10倍ほどの成果を出している。また、SNSチャットの中で自然に商品を紹介することも可能だと言う。

「LINEのチャットボット自体は汎用的な技術になっています。むしろ、どのようなチャットで購入に至るのかを裏側で解析する自然言語解析AIが我々の主力ドメインになっています」

LINEなどのSNSから購入に至ると言っても、その会話を生成するのは非常にハードルが高い。現在は「AかBか」という選択肢を提供しているが、今後は一人ひとりの会話に対応するAIを作っていきたいと言う。

「現在、お客様には選択肢を提供しておりますが、これは万人向けで、あくまで人が作ったものです。弊社は自然言語を解析して、どのようなチャットがお客様の関心を引くのか分析し、個別のお客様と対話できるようにしたいと考えております」

すでに同社のチャットコマースを導入することで、CVRが300%向上し月商1,000万円を超えた事例や、CV数が120%向上しCPAが20%削減された事例も存在している。

「日本の通販マーケティングはブログを活用する方法が一般的ですが、東南アジアでは、入り口がSNSでブログの熟読は少ないです。彼らが当たり前に使っているSNSチャットでマーケティングするというのがビジネスモデルとして違う部分になります」

創立の思い:日本経済をもう一度引き上げたい

日本のみならず台湾やタイなど東南アジア諸国でもユーザーが拡大しているLINEは、2019年の発表資料で日本の月間アクティブユーザーが8000万人を突破したとしている。それだけ拡大していくチャットコマース市場に乗り出した背景には、創立時から一貫したある想いがあると言う。

「私は1982年生まれなのですが、当時日本はGDP世界第2位の経済大国でした。しかし現在は中国に抜かれ3位に落ち、人口減少とともに4位、5位と落ちていくであろうことに課題感を感じていました。なんとか日本経済が外需を獲得し、外でビジネスできる仕組みをつくりたいと考えています」

「日本経済だけに活力があればいいという訳ではなく、アジアのマーケットの方にもメリットをもたらさなくてはいけません。なので、日本が外需を獲得し、アジアに雇用を生み出すという両輪でビジネスを行っております」

調達資金の用途:中国への進出とAI運用強化

調達資金の用途は以下の2点だという。

  1. WeChat対応による中国本土への展開
  2. チャットコマースのAI運用強化

同社の狙いは中国への進出にあり、今後はLINEだけでなくWeChatにも対応していく。

「中国に出るタイミングで自然言語を解析して、どのようなチャットがコンバーションにたどり着くか推測できるモデルを作っていきます。そして今年中に、チャットを中国語で自動生成できるようにします」

「今は何万人に同じチャットを送っているのが、今後1:1のマーケティングチャットをできるようになります。一人ひとりにコンバーションするチャットがあるはずです。それを人間が全部作るわけにはいかないので、AIに生成してもらう必要があります」

最後に今後のビジョンについて、石川氏は改めて以下のように述べた。

「AIの革命の中で、私はなんとか日本経済を引っ張り上げたい。今も中国、アメリカに先をいかれてしまっているわけですが、日本からきめ細やかな技術を使って、米中と違うテクノロジーをグローバルに出して、日本経済を引き上げたいと強く思っています」

 

インタビュー・執筆・撮影
塚田愼一