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強みを活かし合い、金融革命をリードする / NTTデータとレヴィアスの金融対談レヴィアス株式会社 代表取締役 田中慶子
株式会社NTTデータ 金融事業推進部 デジタル戦略推進部 部長 青柳雄一

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DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞いたことがあるだろうか。全てのモノがインターネットに繋がり、お金はデジタルに変化し、人工知能が社会インフラを支える、そんなデジタル化された時代が到来することを予期する概念だ。

全てのものがデジタル化されるという潮流は、年々強くなっている。VentureTimesは、様々なベンチャー企業の代表者を取材している中で、このDXの波を強く感じてきた。どの企業もDXを念頭におき、近い未来に対してどのような事業の在り方があるのか、模索を続けている。
そこで弊社は、DXについて、各業界をリードする企業がどのような取り組みを行っているのかを取材し、未来へ向けての考察として読者にお届けする。

本企画では、DXの最前線に立つゲストとして、AI、FinTech、ブロックチェーンなど先進技術の開発を行うレヴィアス株式会社の代表取締役である田中慶子 氏と小町博幸 氏が、様々な領域でトップを走る企業の代表者様と今後のデジタル化社会について語り合う。

今回は、ベンチャー企業と大手金融機関をつなぎ新たな事業を創出する取り組みや、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携プラットフォームの開発も行う株式会社NTTデータの金融事業推進部 デジタル戦略推進部 部長 青柳雄一氏との対談を実現。

コロナウイルスの影響下でベンチャー企業がどのように事業を進めていけば良いのか、そしてセキュリティトークンなどの最新テクノロジーをどのようにまとめあげて、より良い社会を作っていくことができるのかなどについて興味深い議論が行われた。

※本インタビューはオンラインにて行いました。

株式会社NTTデータ:「トリプルウィン」のオープンイノベーション

記者:
本日はよろしくお願いします。ではまず、株式会社NTTデータ様の事業紹介をお願いできますでしょうか。

NTTデータ 青柳部長:

よろしくお願いします。私は株式会社NTTデータ 金融事業推進部 デジタル戦略推進部 部長 青柳雄一と申します。主に金融機関様向けのDXやフィンテックの分野で事業を行っています。2015年からフィンテックという言葉が勃興し始め、金融分野の経営企画に携わりながらオープンイノベーションの文脈でフィンテック企業様と事業を行わせていただきました。特に事業を始めた頃は銀行様も含めて業界としてオープンイノベーションに知見が少なかったので、みずほ銀行様などのプロジェクトにコンサルタントとして参加して、ベンチャーの皆様とどのようにビジネスを生み出していけるかという活動を3年ほど行いました。その後2018年からとある大手金融機関様向けに専門のデジタル組織を立ち上げて今に至ります。

ビジネスが多様化している現在に1社だけで何かをやるのは難しいと思っています。その意味でオープンイノベーションというのは、大手の企業様、ベンチャー企業様そして我々の「トリプルウィン」でうまくコラボレーションしてこそ成功します。また、多様なベンチャー企業様と一緒に新たなビジネス創発に向けたオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から(URL:http://oi.nttdata.com/)」という活動にも6年ほど携わっております。

例えば、金融機関様のアプリケーションを作るワークショップにはO2O(オンラインとオフラインの相互送客)やアプリケーション開発に強みを持つ株式会社アイリッジ様にご参加いただき、金融機関様に新しい価値提供をしていただいております。また、UXやUIに強みを持つ株式会社フォーデジット様にも参加していただくなどオープンイノベーションを進めています。

先日はこの「豊洲の港から」をきかっけに連携をはじめた株式会社インフキュリオン・グループ様との資本業務提携を発表するなど、金融機関様向けのビジネスも幅広く行っています。BaaS(Banking as a Service)ということで銀行様のデジタル化をベンチャー企業様の技術、ビジネスモデルを活用して推進しています。今回もレヴィアス様の尖ったビジネスモデル、テクノロジーをうまく金融機関様とコラボレートして、新たなビジネスを創出したいと考えています。

レヴィアス株式会社:2020年はJ-STOを社会に実装していく

記者:ありがとうございます。続いてレヴィアス様の事業紹介をお願いします。

レヴィアス 田中代表:

レヴィアス株式会社の田中と申します。弊社は2018年に設立したスタートアップ会社です。主にブロックチェーンやAIなどのテクノロジーを使って、今あるサービスをさらに便利にしていこうという理念のもとで立ち上げました。当初はブロックチェーンに関するシステム開発の受託をメインに行っていましたが、金融、銀行のサービスが変化していく中でブロックチェーン技術を活用したセキュリティトークンと呼ばれる資産のデジタル化市場に目を向け、プラットフォームの研究開発に取り組みました。ブロックチェーン技術を活用した金融システムの導入が進んでいる欧米の動向を観察しながら、日本の規制を遵守して数年先の未来に向けて研究開発しています。PoC(Proof of Concept)では、自社開発によるプラットフォームを通じて、太陽光発電の売電収入を分配する事業型ファンドからその持分の譲渡によるセカンダリ取引を実現させました。
ここ1年は0から1に向けて開発を進めている状況です。またエンタメや一般の企業様でも使えるサービスも研究しています。今年はプラットフォームをアルファ版からベータ版へ移行し、お客様に導入していただくために動いております。先ほどお聞きした、大手企業様とスタートアップ企業様での、NTTデータ様のトリプルウィンというお話は、素晴らしいビジネスモデルだと感じました。弊社も一緒に新しい事業の創出に取り組めたらありがたいと思っています。

記者:
NTTデータ様とレヴィアス様はアプローチの方向性は違えど、同じ分野で事業を行われていますね。青柳さんは様々なスタートアップ企業と取り組まれていますが、レヴィアス様の開発されているセキュリティトークンの動きにどのような印象をお持ちですか。

NTTデータ 青柳部長:
弊社も様々な領域でブロックチェーン技術のビジネス分野への応用に携わっており、金融分野としては、現在貿易情報連携プラットフォームの開発をしています。世界を見渡した時にSTOに取り組んで強みを持っている会社はそこまで多くない状況で、レヴィアス様の取り組みはSTOに絞られていることが強みだと思います。単純にブロックチェーンのエンジニアが足りない中であえて受託の道を狭めてまで、STOにフォーカスしているのが素晴らしいです。

レヴィアス 田中代表:
ブロックチェーンのエンジニアは本当に不足しています。

NTTデータ 青柳部長:
弊社もブロックチェーン技術の使い道を4、5年前から議論していました。当時はビットコインがメジャーだったので決済領域に活用されると思ったのですが、ブロックチェーンは決済に向いていない側面もあるとわかりました。弊社も全ての領域の開発に着手できるわけではないので、オープンイノベーションという考えのもと、ブロックチェーンの中でそれぞれの領域に強い会社さんの強みを活かしていくのが大事だと感じています。

ブロックチェーンを活用した貿易情報連携プラットフォーム:「TradeWaltz」

記者:
NTTデータ様の貿易分野でのブロックチェーン活用方法について教えていただけますか。

NTTデータ 青柳部長:
弊社はブロックチェーン技術を貿易情報連携プラットフォームの構築に活用しています。実は貿易業務は様々なステークホルダーが輸出入の手続きに関与していて、関連する書類も膨大なためその分手続きが煩雑です。そこに共通のプラットフォームを作ろうという取り組みは以前からあるのですが、うまくいかなかった経緯があります。そこでブロックチェーン技術の持つ耐改ざん性、透明性を生かして信用状、送り状、保険証券、船荷証券等貿易に関わる書類をうまく流通させるプラットフォームを作ろうとしています。

このエコシステムは「TradeWaltz」(URL: https://www.tradewaltz.com/)という名前で、2020年度中にサービスを開始します。世界には貿易のプラットフォームは複数ありますが、その中で日本の様々な企業様に参加していただいたアジアに強みを持つプラットフォームが今年度立ち上がろうとしています。

記者:
素晴らしい取り組みですね。「TradeWaltz」の開発期間はどれほどなのでしょうか。

NTTデータ 青柳部長:
2017年度に始まり、2018年度からは国内およびシンガポール、タイでのユースケース(実証実験)を積み上げてきました。

記者:
確かに貿易にブロックチェーン技術を活用すれば効率化が一気に進むと感じていましたが、実装されているサービスが少なかったので、貴社が大手として取り組まれている事実は注目に値すると感じます。

NTTデータ 青柳部長:
やはり貿易業務はステークホルダーが多いです。多くのステークホルダーをまとめるというのはNTTデータが数多くの社会インフラの構築・運用を担ってきた実績から昔から得意とするところなので、そこにブロックチェーン技術を活用して開発しています。

記者:
ありがとうございます。レヴィアス様も様々なブロックチェーンの事例を見ておられると思うのですが、貿易プラットフォームについてどのようにお考えですか。

レヴィアス 小町ディレクター:
技術自体は貿易に限らずテストケースを複数見てきましたが、実際に現実社会にどのように適応するかが最大の障壁だと思います。本年度展開されるというお話でしたので、素晴らしい取り組みだと感じています。

J-STO :社会に実装してこそテクノロジーに価値が生まれる

記者:
実装という意味では、レヴィアスさんはJ-STOという取り組みにどのように力を入れていらっしゃるのでしょうか。

レヴィアス 田中代表:
まずJ-STOについての動画をご覧ください。

弊社のJ-STOはこれまで紙ベースでやりとりをしていた各種契約・金融資産に関する情報を電子的に取り扱うことで今よりも管理を簡便にするものです。J-STOは、未上場株が上場株のように取引所を通じて自由に流動するというようなものではなく、従来の譲渡制限による譲渡承認請求や譲渡に関する一連の手続きがインターネットを通じて行えるようになることで新しい流動化の波を作り出していきたいと考えています。
これは貴社とも共通していると思うのですが、有価証券に関するデジタル化のイノベーションはとても一事業体で完結できるものではなく、金融商品取引法の枠組みの下、様々な企業様との協力関係が重要になります。

また、政府の推進するデジタル社会、Society 5.0においても信頼性のある自由なデータ流通を最重要課題としています。弊社では、実際の社会に活用されてこそ初めてイノベーションだと思っていますので、J-STOは単に技術革新とされるデータの移転が目的ではなく、現実資産がしっかりと現行法の契約に基づき移転されることを趣旨としています。昨年J-STO を3つ、セカンダリーまで含めて4つ実装したのですが、最初の実装までにプロジェクト着手から3年以上の月日を要しています。これは様々なリーガルをクリアしても、なかなか業界が一歩を踏み出しにくいという理由もありました。

記者:
青柳さんはソリューションを提供されている立場として、金融の世界に技術を導入する難しさは感じますか。

NTTデータ 青柳部長:
先ほど社会実装という言葉を仰っていましたが、まさにそこが重要なポイントです。世界観としてSociety 5.0があって、そこにブロックチェーンをどのように実装するのかが大事だと思っています。そのユースケースの1つが弊社の貿易情報連携プラットフォームや、レヴィアス様のJ-STOだと思います。具体的なユースケースをどのようにうまく作りだしていくかが重要で、その検証過程としてPoCなどがあります。その産みの苦しみを弊社もレヴィアス様も強く感じていると思います。

レヴィアス 田中代表:
よくわかります。特に金融領域は保守的な側面もあるので、新しい事業を行うのは簡単ではないですが、何かをしていかないと何も変わらないので、緩やかな変化を辿っていく先にデジタルトランスフォーメーションの社会と、それによって豊かになる世界が初めて実現できるのではないかと思っています。

記者:
青柳様、実際に大手との金融のお仕事の中で、STO、セキュリティトークン等の話題は上がりますか。

NTTデータ 青柳部長:
金融機関の中でSTOに興味を持っている方もいらっしゃいます。弊社は現時点でSTOというオファリングは検証段階ですので、レヴィアス様のように強みを持つ企業様とうまくオープンイノベーションをしながら進めていくのが近道だと思っています。
また、レヴィアス様の仰っていたことに近いのですが、日本全体の方向性としてはエンドユーザー保護の色合いが強い部分があると思います。その方向性の中で最近は風向きが変わってきていると感じていて、ユーザーを保護しながらどのように新しい技術を取り入れるかという話に変化しています。STOはトレーサビリティや煩雑な手続きが簡易になり、エンドユーザーメリットもあるので、ソリューションとして今後注目されるでしょう。
もう1つアフターコロナの社会はどのように変化するのか、ということが重要になります。その中で話題になるのがBBB(Build Back Better)です。トータルでアフターコロナにどのようなより良い社会を作れるかという社会実装の文脈でSTOも含めて、テクノロジーの議論が可能だと思っています。

コロナウイルスで加速したデジタル化:アフターコロナの世界をより良いものにしていくには?

記者:
ありがとうございます。最後に両社様が今後DXにおいてどのようなお取り組みをお考えかを、教えていただけますでしょうか。

レヴィアス 小町ディレクター:
先ほどアフターコロナの話が出ましたが、コロナ後はコロナ前にはもう戻れないと言われています。コロナウイルスの影響によって必要に迫られて電子化が進みました。必然的にそちらの方が便利だと感じられるものが残っていきます。最近では、GMOさんが印鑑の廃止を発表したり、メガバンクのHSBCが100億ドル(約1兆600億円)の紙ベースの私募債の記録をブロックチェーンに移行するなどがありました。
コロナ後には必然的にDXが加速すると思いますし、弊社のセキュリティトークンに関する取り組みもこれまで以上に進むと思っています。

また技術が社会に導入され、結果的に社会が豊かになるというのがDXの本質なので、現代社会において、経済的発展と社会的価値を両立させることがとても重要だと考えています。

レヴィアス 田中代表:
今回のように取材をZOOMで行うというのは新しい文化です。タクシーに乗る時も数年前まで現金のみでしたが、今や様々な電子的決済方法が社会に浸透して使われるようになっています。NTTデータ様の貿易ブロックチェーンや弊社のJ-STOの技術浸透もコロナの影響で早まるのではないかなと感じています。

NTTデータ 青柳部長:
NTTデータは『情報技術で新しい「しくみ」や「価値」を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する』ということを企業理念としており、弊社のミッションは一言で言うと社会的課題の解決です。そのためにテクノロジーやビジネスモデルがあるわけです。弊社だけで解決できる課題はごく一部だと思っているからこそオープンイノベーションの手法をとっています。より多くの課題を解決するためにベンチャー企業様や様々な企業様と連携することが大事だと思っているので、具体的なユースケースなどのお話をレヴィアス様とも今後進めていければと思っています。

また今回のコロナウイルスの重要な側面として、皆様がデジタルに触れる機会ができて、テクノロジーが社会に実装されることになったと思います。また一方の悪い側面としてフィンテック含めたベンチャー企業様への投資が冷え込むなどコロナウイルスには良い面と悪い面があります。
NTTデータはこのような状況下だからこそオープンイノベーションによってビジネスを活況にして、間接的ではあれベンチャー企業様等の支援をしたい。ひいてはクライアントの大企業様に対して社会課題の解決という意味で良いフィードバックが可能だと思っています。冒頭にトリプルウィンという話をしましたが、より一層アフターコロナの世界でも推し進めていきたいと思っている次第です。

記者まとめ

いかがだっただろうか。今やテクノロジーは多岐にわたり、1つの企業が全てを自社で取り組むものではない。むしろ多くの企業がそれぞれの専門性を持ち寄って協力し、より良い社会を作るフェーズに入っていると言える。
その中でベンチャー企業と金融機関とをつなぎ、新たな事業を創出する株式会社NTTデータの取り組みはコロナ以降の社会において重要になるだろう。
また、レヴィアス株式会社もSociety5.0以降の社会を目指して信頼に足るデータが移行される未来を見据え、ブロックチェーン技術を活用したプラットフォームを開発している。
コロナウイルスの影響でよりDX化されていく社会において両社の取り組みは今後も重要な役割を果たしていくはずだ。今後の動向に注目したい。

インタビュアー:ルンドクヴィスト・ダン
執筆:塚田愼一