社長の森尾太一氏はこう説明する。
「すでに流通している2000円前後の法人向け弁当は、価格に見合っていない傾向があるという印象を受けている。法人向け弁当の主要な会社はポータルサイトに登録し、そこから注文を受ける方式を取っているが、サイトへの手数料が発生する。2000円で利益を確保するには食材原価を下げなければならないし、品質を高めるには売価を上げるしかない。当社は直販にこだわり、法人から直に注文を受けるので、手数料が発生しない分、他社よりも原価や製造人件費に還元でき、商品力で上回れる」
MR向けの弁当市場は年間300億円に達し、40%が関東地区に集中しているという。市場性を読んだ同社は、当初は医薬品メーカーに営業をかけたが、ほどなく口コミで注文が増え出した。MRが質の高い弁当を探しているなかで、「おべんとラボ」の弁当に多くの病院の医師たちの間で「美味しい」と評判が広がり、MRの間で有力なマーケティングツールになりうると認知されたのだ。
リピーターも増えつづけ、現在では、国内外の主要な医薬品メーカーの大半と継続的に取引している。
早期に事業を軌道に乗せた森尾氏は、外食コンサルティング会社に勤務していたが、「外食の実業に関わりたい」と志して、12年にエー・ピーカンパニーに入社。おもに採用教育に従事し、塚田農場プラス設立に伴い社長に就任した。コンサル経験が基盤にあるからか、打ち手はマトリクスのように多元的である。