一つはターゲットを絞り込み、コミュニケーション戦略に深くコミットしていくこと。クライアントの業種は現在、アフィリエイトのウエートが高い美容関係と金融関係にほぼ二分されるという。
もう一つが、上記のオンラインとオフラインのメディアミックスだ。小嶋社長はこう説明する。「アフィリエイト専業の広告代理店は、確かにCPA(顧客獲得の費用対効果)といった経営数値管理には強いのですが、アフィリエイト以外のジャンルにアプローチできないという弱みもあります。
オンラインだけでなく、オフラインも活用すれば、広告効果はぐんと高まるんですね。そもそも広告のミッションというのは、目的を達するために予算のポ ートフォリオを最適化し、オンラインとオフラインをどのようにして使い分けたり、あるいはシナジーを追求したりするのか、ということになるはずです。ところが、それを実現できている広告代理店は極めて少ない。当社としては、そこが付け目だったのです」
例えば、エステティックサロン「マックB」から、ネットでのコンバージョン率を上げるためのコミュニケーション戦略を同社が請け負うとすると、こんな展開になる。雑誌社や新聞社に働きかけてマックBの記事を取材してもらい、そのコンテンツをランディングページ(リンク先のウェブページ)でも配信する。または、リサーチ会社と提携してエステの人気リサーチを行い、「30代女性の満足度№1はマックB」といった調査結果をネット上でリリースするとともに、マックBの販促媒体などにも活用する。複数のメディアに同時並行で露出していくことで、相乗的な認知度アップを図るのだ。
同社が力を入れているのはアフィリエイト媒体の管理。とりわけ、重視しているのがネット検索の“キーワード”から分析できるユーザインサイトだ。「検索ワードは購買プロセスにおけるユーザ心理をダイレクトに表現します。口コミが気になるのか、価格重視なのか、人気商品を探しているのか、、、そのユーザ心理とアフィリエイト媒体上の表現、そしてランディングページ上の訴求の関連性をきめ細かく、チェックし最適化していきます。
当社では、数多ある検索キーワードに対し、どのような文脈を使えば購買に至りやすいのか、といったデータも集積しているので、アフィリエイト媒体に対し訴求方法のコンサルティングもします」(小嶋社長)。
アフィリエイト媒体向けにコンテンツを開発することもある。例えば、テレビ局と組んで情報番組に露出、局の同意を取り付けたうえで、訴求したい客層の閲覧が多いアフィリエイト媒体にも放送動画を提供する。そうすれば、アフィリエイト媒体の負担がなく、狙いどおりの表現をターゲットに伝えらえるというわけだ。
一方、新しいアフィリエイト媒体の発掘にも取り組んでいる。例えば、打ち出したいキーワードと関連性が高いサイトや記事があれば、検索で引っかかる確率が高いため、ジャンルを問わず、広告掲載を打診するという。
実際に、アフィリエイトのみでは月間コンバージョンが400件前後で推移していた美容ECを、同社が広告を手がけたところ、1年後には月間コンバージョンが約3,500件に急増した。アフィリエイトのみでは月間コンバージョンが約200件だった美容サロンも、同社が広告代理店となった結果、3年後には月間コンバージョンが約2,000件に伸びたというケースもある。
ライター
野澤正毅