新規事業を拡大するには、新しい人材の新しい力も必要になってくる。同社には、2018年入社予定のインターンが5名いるが、小嶋社長は、第二新卒なども含めてさらに2〜3名を新規採用したい考えだ。
小嶋社長は、求める人物像として「これは絶対条件なんですが、真面目な人ですね」と言い切る。
「ネット広告と言うと、最先端のITといった専門性が求められると思われがちですが、実はそうではありません。広告の仕事は、クライアントとの信頼関係を築くことが非常に重要です。クライアントの期待に応えるためには、前向きで自己研鑽を怠らなかったり、常にアンテナを張って新しい情報を吸収したりする姿勢が求められます。センスや知識は後からでも身につけられます」
次の採用条件として、小嶋社長が挙げるのは「責任感の強さ」だ。クライアントのことを真剣に考えられる資質が、クライアントの信頼を勝ち得るためには欠かせないという。
中途採用については、上記の二つの条件に加え、一芸に秀でて、社会人として活躍したキャリアがあるかどうかに着目する。「ネット広告以外のジャンルでも、小さなことでもかまいません。成功体験があれば、自信がついて成長しやすいからです」という。
人物重視なので、採用試験は面接が中心。最終面接は、食事会を兼ねた意見交換会になることもあるそうだ。「やる気のある人が採用できたら、いずれは社内ベンチャーを任せてみたいですね」と、小嶋社長は語る。
現在はアフィリエイト関連業務がメーンになっているが、「クライアントの課題を解決するために、オンラインとオフラインの両方の広告プランを提案できるような人材を増やしたい」というのが、小嶋社長の意向だ。若手社員は、アフィリエイト関連部門をまず担当し、業務を一通りこなせるようになったら、オフラインなど成果報酬型広告以外のノウハウも身につけていくというキャリアプランになっている。
ただし、研修については、先輩社員がマンツーマンで新人を指導する「メンター制」しか行ってこなかったが、ノウハウを社内で共有し、水平展開するため、月1回といった定期で行う「全社員集合研修」などの実施も検討している。
小嶋社長は、「経営者は、その事業をなぜ行うのか、その事業の社会的意義とは何かを、明確に語り続けることが大切」というのが持論。「私の場合は、日本でマーケティングを浸透させたかったからです。メード・イン・ジャパンは品質がよく、宣伝しなくても売れると考えられていたため、日本ではマーケティングが発達しなかった。しかし、品質とマーケティングを武器にした外国製品が増え、日本製品の国際競争力は低下してしまいました。
今こそマーケティングが日本の産業界に貢献できるときなのです」。同社は、2019年にIPOを目指しており、その資金を元手に、次は事業をグローバル展開する方針だ。
当面のターゲットはASEAN/中国/アメリカといった、日本企業が多く進出する地域で、M&Aによる事業拡大も視野に入れる。小嶋社長は、事業構想についてこう説明する。
「かつての日本と同じように、ASEANなど新興国の企業もマーティングについて悩みを抱えているはずです。
当社のノウハウは、きっと海外でも役立つと確信しています」
ライター
野澤正毅