そんなベクトルだが、起業のきっかけが実にユニークといえる。
「もともとは、学生の頃から趣味でスニーカーやGショックを雑誌を使って集めていました。19歳の時にアルバイト先で知り合った方に居酒屋のオーナーを紹介され、その軒先で商売をスタートさせてもらったのがベクトルの原点となっています」と村川社長は当時を振り返る。
その後、順調に店舗数を拡大するとともに、インターネットを活用しビジネスを広げたベクトルだが、成長の要因は時流に敏感であったことを村川社長は指摘する。
「自分たちはメーカーでなく、今流行っているものを買って売るという商売であったのが良かった。流行りに敏感になれたというか。また、流行りに乗ってやり方を変え続けていかなければいけないという意識が染みついていたのも大きい。ITに注目し、システム構築やプラットフォーム作りに本格的に着手したのもその一環です」
もちろん、1997年の創業以来、すべてが順風満帆であったわけではない。幾多の失敗を乗り越えてきている。創業当初にバイヤーに騙されたり、業務ミスで大幅な追加納税を課されたりしたほか、2016年には物流業務がパンク寸前に陥った。それらのピンチを、見方を変えチャンスとし、事業展開を大きく変えてきた点も見逃せない。
「ベクトルにとって、ライバルは時代なんです。時代はどんどん変わっていきます。そのスピードについていかないといけない。まずは、自分が変わらなければと人と会って最先端の話を聞いたり、自己啓発本を中心に様々な本を読み漁りました。良いと思ったらすべてを即実行することを全社レベルで徹底していたので現場を混乱させたことも多々ありました。今は、何をアウトプットすべきか、何が会社にとって必要なのかを咀嚼できるようになりました。おかげで、チャンスの流れに上手く乗れている気がします」(村川社長)
ライター
袖山 俊夫