デイサービスを直撃した2015年介護報酬改定 “本物の事業者”として事業拡大チャンスに転化
12年にウェルネスフロンティア本社の東京移転にともない、岡本氏は社長に就任し、13年にはオカモトホールディングス副社長に就任した。謙一氏が岡本氏に命じたミッションは「フィットネスと介護で日本一の会社をめざしなさい」。岡本氏は、12年に100店に満たなかった店舗数を5年で約300店に拡大した。
年間売上高の推移を振り返ると、14年度66億300万円、15年度88億300万円、16年度113億8400万円。17年度は141億5900万円を見込んでいる。売上構成比はフィットネス事業が80%、介護事業が20%である。
この間、ひとつの壁は15年度の介護報酬改定だった。新規参入が続出して全国に乱立するデイサービスを削減する目的で、厚生労働省はデイサービスの報酬単価を引き下げ、経営力の脆弱な事業者は撤退を余儀なくされる。介護業界では「15年度改定で本物のデイサービスは残った」と総括されているが、同社は、強固な経営基盤と認知症予防プログラムなどによる良質なサービスをベースに、報酬改定をむしろ集客機会の拡大につなげた。
次回の改定は18年度である。デイサービスに対しては、利用者の要介護度・要支援度の改善を基準に、アウトカム評価による加算が算定される政策方針が発表されている。同社にとっては追い風になりそうだ。
経済ジャーナリスト
小野 貴史