現在の店舗数はホットヨガスタジオ「LOIVE」(ロイブ)が北海道から九州まで直営28店舗。17年8月には「SurfFit」(サーフフィット)銀座本店、12月には渋谷店をオープンした。サーフボードの下にバランスボールが付いている専用機器を用いた体幹エクササイズによって、体幹だけを鍛えるトレーニングよりも、日常の動作に必要な体幹が鍛えられるプログラムを組んでいる。オープン半年後には入会待ちの状態になり、現在の会員数は2700名に及ぶ。
業績も好調で17年3月期に売上高16億円、経常利益1億6000万円。18年3月期にはそれぞれ24億円、3億5000万円を見込み、さらに100店舗を出店して4年後には年間売上高100億円を計画している。成長力を担保しているのはマインド研修で培った社員のヒューマンスキルに加え、プログラム開発力である。
ライフクリエイトの社員230人のうち、男性は4人にすぎない。一方、顧客は女性に限定され、多くが30~40代の独身である。しかも、ライフクリエイトにはフィットネス業界出身者がほとんど在籍していない。この社員特性がプログラム開発に寄与している。前川氏はこう説明する。
「既存のフィットネス会社がヨガスタジオを開設する場合、経営幹部の男性たちがプログラムやマーケティングを考えることが多いのですが、当社はお客様と同じ働く女性たちが考えるので、既成概念にとらわれることもなく、ピントが合うのです」
目下、ヨガ市場は拡大基調にある。セブン&アイ出版(東京都千代田区)が2017年2月に実施した調査によると、日本のヨガ市場規模は2600億円。月1回以上の実施者は約590万人、年1回の実施者は約770万人で、今後2~3年でヨガ人口は約1600万人に増加する見通しだという。ヨガを実施する場所はフィットネスクラブとヨガスタジオが60%超を占め、今後の利用者増も十分に見込める。
すでにライフクリエイトは、北海道では名の知れる企業になった。札幌商工会議所は「優れた技術やユニークな経営手法によって挑戦を続ける創業期にある起業家を表彰し、社会的評価の向上や事業拡大を応援することを目的」(札幌商工会議所ホームページ)に「北の起業家表彰制度」を設けているが、前川氏は14年に奨励賞を受賞している。これからの4年間でナショナルチェーンへのステップアップにチャレンジするが、前川氏にはもうひとつの役割がある。中学2年生の子供をもつ母として、働く女性のロールモデルとなって、社員の子育てもバックアップしていきたいという。
経済ジャーナリスト
小野 貴史