法律文書を制作したことがない人には想像し難いかもしれないが、実際にはいくつもの課題が存在するそうだ。代表取締役の堀口氏は自信の経験から法律文書管理の現状は関係者にとって「非常に苦痛なものになっている」と言う。
「法律文書を作るとなると、マイクロソフトのAZUREに入っている、Wordで作った文章が過去の蓄積として数多く存在しています。これらファイルを複数開いて見比べながら、適切な文章を作っていく。関連するものを探し出してきて、3つほどのディスプレイを使用して見比べることが多かったです。なおかつ、ファイルの中でコメントして、メールで送付するということもあります。大量の文章をローカルに保存していているため、必要な文章を探すのは非常に大変な作業です。また、他の人が作ったフォルダを見ても、どこに資料があるかわからない、という現状もあります。」
確かにローカルで資料をどのように保存しているかは、各人のやり方があるため、正式に引き継ぎを行わないと、後継の人が閲覧しにくいなどの問題も存在する。実際に、LAWGUE(ローグ)は複数の企業に導入され、業務の効率化を行っている。
「例えば10名ほど法務の担当者がいる会社の事例があります。過去のフォルダがどこにあるのかを把握している方がメインでいらっしゃったのですが、それ以外の方は流動性があって、次々に新しい人が入る。そうすると新しく入った人は、どのファイルをみればいいのか、適切な言い回しや書き方がわからない。そのため過去のフォルダを把握しているメインの方に毎回支持を仰ぐことになります。そのような状況において、弊社のツールを使用してもらうことで、すぐに文章を探し出すことが出来ますし、確認を取る手間もなくなります。」
今回の調達資金の用途としては以下の2点を想定しているという。
堀口氏は長期のビジネス像として、オンライン、クラウド上での文章作成が増えていくと予測。そのときに最も使われるエディターを目指していきたいと考えているそうだ。
また、現在は契約書などの文章が中心だが電子書籍への応用など、文書管理に関わるその他の分野にも応用していきたいと言う。
「今までは企業の法務分野が中心でしたが、法務分野以外にも周辺領域までLAWGUEの応用範囲を拡大していきたいです。また、地方公共団体や官公庁などのパブリックセクターとのやりとりも、今後は担っていきたいと考えています。」
国産のオンラインエディターの作成には多くの課題が存在しているが、だからこそ、やりがいのある仕事だと堀口氏は言う。
「文章を作るシステム、Wordでもなく、Googleドキュメントでもなく、かつ共有が可能なシステムの作成は非常にハードルが高いです。その意味で非常にやりがいのある仕事だと思っています。また技術的にも、この部分に取り組むプレイヤーは国内には存在しません。今後は開発人材も必要ですし、システムの紹介や、導入のサポートをする人材も必要としています。調達資金を活用し、人材の確保とLAWGUE(ローグ)の開発をしっかりと行っていきたいです。」