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国内不動産市場のストック型社会への転換を牽引、中古マンションのリノベーションをワンストップで行う / 注目ベンチャーインタビューリノべる株式会社
代表取締役 山下智弘

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テクノロジーを活用したリノベーション・プラットフォーム事業を展開するワンストップ・リノベーション事業者であるリノべる株式会社(本社:東京都渋谷区渋谷、代表取締役:山下 智弘)は、昨年11月シリーズEラウンドにおいて総額40億円規模の資金調達を発表、また、12月にはNTT都市開発株式会社との資本業務提携を行った。

すでにリノベる社は2016年に東急株式会社、2017年には三井物産および静岡銀行と資本提携を実施しており協力関係を拡大している。

今回はリノべる株式会社の代表取締役である山下 智弘 氏にお話を伺い、日本の不動産市場の課題からリノベーション業界における課題と同社のソリューションまでお話を伺った。

中古マンションのリノベーションをワンストップで行う

「リノベる株式会社という名前で事業を行っておりまして、サービスは大きく2つあります。1つはBtoC向けのリノベーションサービスです。こちらは不動産、建築、金融領域のパートナーと連携したプラットフォームを運営しております。エンドユーザーがリノベーションを行いたいと思った時に、物件探しから設計、施工、インテリア、スマートホームまでをワンストップでかしこく素敵に行うことができるサービスです。もう一つはBtoB向けです。BtoCは区分所有マンションの1室単位となりますが、BtoBはマンション一棟や商業施設、オフィスなどのリノベーションを指しております。さらに、ワンストップリノベーションで得たデータや知見をもとに、リノベーション業界に特化したプロダクトを開発し、業界に提供しています」

近年リノベーションという言葉は浸透しつつあるが、日本人の8割ほどは新築の家を購入するのが実情だと言う。

「8割が新築のマーケットなので、リノベーションに必要な不動産、建築、金融領域の知見が企業側にも少なく、ローンを組むにしても施工業者を探すにも、個人でリノベーションを行おうとするとうまくいかないことが多いのです。それを弊社のサービスがワンストップで解決します」

「オンラインで見ていただいたものを、全国のショールームで体感していただき、セミナーやカウンセリングを通して、どのような暮らしをしたいか、ということを整理整頓していきます。そこからリノベる。のパートナーである不動産会社と共に、物件探しがスタートします」

中古不動産は一つ一つが条件が異なる。また、顧客のニーズも顧客の数だけあることを聞けば、同社がワンストップ・リノベーションを仕組化し、急拡大したことは画期的なことだとわかるだろう。今後は不動産業界において中古市場、リノベーションがさらに拡大していくだろうとした上で、山下氏は以下のように考えているという。

「『日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。』が弊社のミッションであり、「かしこく」「素敵な」選択ができることが、弊社の強みであり大切にしている点です。1つは、それが選択肢としてかしこいかどうかです。不動産は人生の高い買い物のわりに、5500万よりも5000万のほうが安くていいと思われがちです。ですが、これからは長期的な資産価値にこそ重きを置くべきだと考えています。もう1つ大切にしているのが、「素敵さ」です。日本は今まで、ある意味で「素敵さ」を諦めてきました。白いクロスに床はビニールシート、蛍光灯一つ。好きなポスターを壁に画鋲で刺したら親に怒られましたよね。リノベーションが8割を占める海外ではもっと自由で、扉に飽きたら色を塗り替えたりします。中古を買って、自分の好みに合わせてカスタマイズしているんです。服を楽しむように暮らしを楽しむことが日本はまだできていない。これからも「かしこく素敵な暮らし」を具現化する手段としてのリノベーションを啓蒙していきたいです」

リノベる社はウェブで積極的に発信を行っており、中古+リノベーションのセミナーなどを通して啓蒙活動を行っている。その背景には創業時から考えている日本の不動産市場をデジタルでより効率良くできるのではという想いがある。

「弊社の事業はデジタルもリアルも大切にしています。O2Oだったり、最近ではOMO(オンラインマージオフライン)といわれるものですね。オンラインのオウンドメディアや広告というデジタルと、ショールームでのリアル体験を連動させています。オンラインのメディアでリノベーションの検討時に皆さんが気にされる耐震などの記事や事例を掲載し、詳しく知りたくなった方に向けて中古住宅購入とリノベーションのセミナーをショールームで開催します。そこで実際にリノベーション空間を体験いただき、お客様に多角的に理解を深めていただいております」

リノベーションの文化が根付くにはまだ時間がかかるとする一方で、お客様への啓蒙は少しづつ効果を感じているという。

「まだ8割が新築、2割が中古、その2割の内の一部がリノベーションです。しかし、2030年から2035年にかけて新築:中古の比率が5:5になると言われています。人口も減っていて、新築が減っていくことで間違いなく流通量が変わっていく。その頃にはリノベーションがスタンダードな選択肢としたいですね」

大手ゼネコンでの挫折と海外での体験からリノベる社を設立

山下氏が日本のリノベーション市場に着手したきっかけは、大手ゼネコンで働いていたときの体験が根幹にあるという。

「大手ゼネコンで働いていた時に、用地を買い上げて大きなマンションを建てていました。しかし、ある事件がありまして挫折を味わいました。当時、私は立ち退きを担当していました。団地を買い上げて、マンションを建てるんです」

しかし、そこで1人の年配のご婦人から立ち退きを拒否されたそうだ。仕事柄、諦めるわけにもいかず、何日も通い詰めて話を聞いたところ「実は孫と疎遠になっていて、この家があれば孫が帰ってきてくれると思う」と教えてくれたそうだ。そこで山下氏は家を新しくして、きれいな家でお孫さんを迎えることを提案し、承諾を得たという。2年ほどで新しい建物が完成して、久しぶりにそのマンションに行ったところそのご婦人に偶然会うことができた。

「そしたら、おばあちゃんにむなぐらを掴まれて、『あなたに人生奪われた』『こんなの私の家じゃない!』と言われ、泣き崩れるんですよ。すごくショックでした。人の人生を奪ってしまった、なんて事をやってしまったんだろうと思いました。そんな挫折を味わい、逃げるように会社から休みをいただいて、ヨーロッパやアメリカを旅しました」
「その時に海外に住む先輩の家を泊まり歩いていたんです。そうしたら、みなさんすごく生活を楽しんでいて、『壁を塗ってみたんだけど、どう?』『机をこんな風にしてみたんだ』と言われました。同じことがフランスでも、イギリスでもあって、みなさん少しづつ家に工夫しているんです。その後、日本に帰ってきて、誰かの家にいってみると、家の話がでないんです。理由を考えてみたら、新築と中古の違いだと気づきました」

これらの経験から、山下氏は転職を考えたが自分の思想にマッチした会社が見つからず、自分でリノベる社を立ち上げるに至ったそうだ。

今後の展開:業務提携を経て日本の街の魅力を生み出していく

「これまで三井物産や東急など日本を代表する企業に出資していただいて、昨年11月にはNTT都市開発とも提携を行いました。NTT都市開発は日本を代表する”大家さん”とも言える存在で、8000棟をこえる不動産を保有しています。」

NTTグループは電話局などの関係で、条件の良い場所に堅牢な建物を所持しているが、近年の技術発展で機械設備が小型化し、部屋や用地に余裕が生まれはじめているという。それらの不動産に対してリノベる社はNTTグループと共にリノベーションやコンバージョンによる利活用を推進していく予定だ。

「NTTグループは興味深い物件をたくさん保有しています。住まいの領域で日本は評価されることも増えてきたましたが、日本の街自体は寂しくなっていると感じています。どこを見ても、同じような建物や景色が広がり、特徴に欠けていて、街の魅力がなくなっていっています。NTTグループの不動産をリノベーションを通して活用することで、街、地域の魅力づくりにつなげていきたいと考えています」

資金調達や提携を受けて、今後はどのように事業を進めていくのだろうか。

「数字のマイルストーンでいくと1万件という数字があります。1万件とは新築を含めて日本で住宅を供給する会社のトップを意味します。そこに2025年を目処に到達することが目標です。その前段階に1000件という数字がありまして、これは2020年度の達成を目指しています。1000件と1万件が今後のマイルストーンです」

会社名:リノべる株式会社
代表:代表取締役 山下 智弘
コーポレートサイトURL:https://renoveru.co.jp/
「リノベる。」サービスサイトURL: https://www.renoveru.jp/

インタビュー・執筆・撮影
塚田愼一

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