本日はよろしくお願いします。
DXとはITの浸透によって人々の生活があらゆる面で豊かになるという意味があります。
今回はそのDXについて各企業様がどのように考え、どのような取り組みをしていらっしゃるのか、対談形式で伺いたいと思います。
ではまず、トビラシステムズ様から事業内容のご紹介をいただけますでしょうか。
トビラシステムズ 明田代表:
よろしくお願いします。
トビラシステムズ株式会社代表の明田篤と申します。
弊社の主力事業は迷惑電話のフィルタサービスです。
我々が構築した迷惑電話データベースを固定電話やスマートフォン、企業の電話に活用することで、迷惑電話や詐欺の電話をフィルタリングします。
迷惑電話の検出率は99%となっており、大手キャリア様でも採用していただいています。
記者:
素晴らしいサービスですね。
どのような情報源から迷惑電話のリストを作成されているのでしょうか。
トビラシステムズ 明田代表:
主に情報源は3つあります。
1つ目はデータベースをご利用いただいている1000万人近くのお客様から得られる統計情報、報告情報です。迷惑電話がかかってきた場合に報告をする機能があるので、それを活用しています。
2つ目は全国の警察との連携です。特殊詐欺の電話があると110番通報が警察に届くので、それらの情報を警察から送っていただいています。
3つ目はネット上の情報、紙ベースの情報を収集しています。
この3つを複合的に分析して迷惑電話のリストを作り上げています。
また迷惑電話防止フィルタで培った技術を活用した「トビラフォン Cloud」というサービスを3月30日から開始しました。
弊社のアプリをスマートフォンにダウンロードすると、050のIP電話の番号が割り振られます。自分の携帯電話で会社にかかってくる電話を受け、会社の電話番号で発信できるサービスです。
会社に据え置き型の電話を置かれている企業様が多いと思うのですが、それをDXしたいと考えています。
記者:
ありがとうございます。それでは続きまして、レヴィアス様からも自社のご紹介をいただけますでしょうか。
レヴィアス 樋渡氏:
レヴィアス株式会社取締役の樋渡と申します。
弊社は2018年創業のスタートアップ企業で、ITのシステム開発を行っています。
またフィンテックの領域にも力を入れており、「J-STO」という、金融資産をオンラインで移転するプラットフォームを開発しています。すでにアルファ版がリリースされ、12月にクローズドベータ版がリリースされる予定です。
「J-STO」は未上場株やファンドの持分など流動性の低い金融資産をオンライン上で、煩雑な手続き無しで相対取引によって売買できるプラットフォームです。
今までは面倒な書類の手続きが必要でしたが、弊社のプラットフォームを活用すれば手軽に相対取引を希望する投資家同士をマッチングさせ、従来の紙の契約書などを使わずに、ブロックチェーンを用いた信頼性のある方法で資産を移転することができます。
記者:
ありがとうございます。
トビラシステムズ様が2020年3月から提供開始したテレワーク支援ツール「トビラフォン Cloud」は、どのような経緯で生まれたのでしょうか。
トビラシステムズ 明田代表:
テレワーク拡大に伴い、社内での業務が大きく変化した企業は多いと思います。
ペーパーレス化、電子署名、オンライン会議などの導入で、レガシーツールや旧態依然の働き方にDXの波が訪れました。
ところが、会社に設置してある固定電話についてはDXが後回しになりがちで、電話応対のために出社せざるを得ない人がいるのが現実です。
まだまだ電話はビジネスにおいて必要なツールであり、私たちはこの部分をテクノロジーで革新しようと考えました。
これまでの電話関連サービスで蓄積した知見を生かし、スマホアプリでどこでもビジネスフォン機能が使える「トビラフォン Cloud」を開発しました。
記者:
そのような経緯だったのですね。特にテレワーク環境においては、個人情報やセキュリティ面への配慮も重要になってくると思います。
DXにおいてその点はどのようにカバーしているのでしょうか。
トビラシステムズ 明田代表:
このサービスの最大の特徴は、通話録音、共有電話帳、発着信履歴など様々な情報がクラウド上に保管される点です。
万が一従業員がスマホを紛失してしまっても、アカウントを利用停止させれば外部に情報漏洩する心配がなく、情報はクラウド上で守られます。
また、「トビラフォン Cloud」専用アプリを従業員の手持ちのスマホに入れれば、私用番号と社用050番号を1台のスマホで使い分けることができます。
従業員はプライベートで使う電話番号を取引先に知られる心配がありません。
企業にも従業員にも、セキュリティ面で安心して使っていただけるサービスになっていると思います。
記者:
DXにおいて懸念されがちなセキュリティ面も、これなら心強いですね。
一方で、レヴィアス様の扱うブロックチェーンは個人情報の管理に活用できるものだと思います。
DXが進むと個人情報に敏感になる方が多いので、個人情報をサーバーではなくブロックチェーン上で保管するサービスなどは今後も注目を集めそうです。
レヴィアス 樋渡氏:
そうですね。実際にMicrosoft社はブロックチェーンベースの分散型デジタルIDシステムの開発に着手しており、今年の6月にはION(Identity Overlay Network)というプロジェクトのβ版がリリースされました。
さらにはBitcoinベースのデジタルID Onenameを開発するBlockstackや、EthereumベースのデジタルID uPortを開発するConsensysとともにクロスチェーンデジタルIDシステム(異なったブロックチェーン同士を繋げるデジタルIDシステム技術)の開発なども始まっています。
また今年の8月には慶應大学が就活生の個人情報を守るためにブロックチェーン技術を活用すると発表しました。
個人情報の適切な取扱いについては、大企業だけでなく、私たちベンチャー企業といった全ての事業者が守らなければならないルールです。
その中でも、個人情報の管理やeKYC(electronic Know Your Customer:顧客確認)業務においては、改竄が非常に難しいとされるブロックチェーンが非常に相性の良いテクノロジーであると言われています。
今回、私たちがリリースするJ-STOプラットフォームにはそのようなeKYCのサービスも含まれる予定です。
このように個人情報を守るためにブロックチェーン技術を活用する事例は、これからも増えていくと思います。
記者:
最後に両社様の未来へのビジョンなどがありましたらお伺いしたいです
トビラシステムズ 明田代表:
今後「トビラフォン Cloud」を成長させ、会社の新たな柱にしていきたいです。
電話はアナログなツールに見られがちですが、まだまだビジネスにおいては必要ですし、DXを妨げる課題を解決すればビジネスにおいて非常に便利なコミュニケーションツールだと考えています。
私たちの持つテクノロジーを生かし、価値ある技術、ソリューションを提供する企業に成長していきたいと思っています。
記者:
ありがとうございます。
レヴィアス様のこれからのビジョンをお願いします。
レヴィアス 樋渡氏:
DXとは何かを根本的に考えると、「通信」が核になっていると気づきます。つまりは誰かと誰かをつなぐということです。
通信の歴史は、狼煙や太鼓といった原始的なものから始まり、電気通信システムである電話が登場し、そしてインターネットへと発展していきました。
弊社はインターネットを活用し、J-STOプラットフォームによって金融資産の移転をオンラインで簡便化しようとしていますが、これも電話と同じ一種のコミュニケーションツールだと思います。
資産の移転という「コミュニケーション」を今までよりも便利なツールにして、皆様の生活をより良いものにしていきたいという理念のもとで活動していきたいです。
いかがだっただろうか。トビラシステムズ株式会社は「トビラフォンCloud」で、電話というアナログなツールをDXしている。
DXと言うと先進的な新しい技術だと思われがちだが、既存のビジネスで使われているツールをより便利にすることが、最も社会に必要とされるソリューションであることは言うまでもない。
同社が手がける電話のDXという発想は、リモートワークや経費削減が重視される中、どの企業にとっても重要なアプローチであろう。
また、技術が高度化していく社会においてセキュリティは懸念事項の1つになっている。
レヴィアス株式会社の採用するブロックチェーン技術も今後の社会で重要な役割を果たしていくだろう。
両社の今後の動向に注目したい。