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ヒットしたサービスに安住せず、変化を恐れず進化し続ける / 熱中の肖像インタビュー後編株式会社ビジョン
代表取締役社長 佐野 健一

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国際電話割引サービスで売上10億円

「ビジョン」という会社は作ったものの、情報通信分野をやるとしか決めていなかったという佐野氏。最初のヒットは、日本在住の南米系外国人に向けた国際電話割引サービスの取次ぎだ。きっかけは、富士宮市在住の出稼ぎ南米人達のサッカー仲間に入れてもらったことだった。そこで、彼らが頻繁に母国へ国際電話をかけること、通話料金の高さに悩んでいることを知った。その縁で南米系のスタッフ達を採用し、展開した国際電話サービス事業だったが、1年目は7700万円、2年目は10億円と劇的に売上が拡大した。しかし、佐野氏は満足しなかった。国際電話サービスは、価格競争や技術革新が激しい世界。今は良くても、将来は売り上げが落ちてくるのは必至だ。外国人スタッフ達が、母国に帰国するという期限の問題もあった。

「どんな産業も置きかわってきます。置きかわらないと思い込んで問題から目をそらすか、置きかわる恐怖に震えているだけなのか、自分達で積極的に置きかえていくのか。私は、自ら置きかえていくことを選んだのです」。

佐野氏はオフィスを東京に移転することを決断し、固定電話事業、移動体通信事業やブロードバンド事業など、法人向け事業を中心に展開する。

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「グローバルWiFi®」が大ブレイク、そして上場

株式会社ビジョンのボーダーレスな事業展開を印象付け、大きな飛躍につながったのは、海外用Wi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi®」だ。事業開始の2012年当時は、海外でモバイルインターネット接続を長時間利用すると、法外な料金を請求されるケースが多かった。それを世界各国の通信キャリアと直接交渉、契約し、現地のローカルネットワークを直接利用できる方法を採用した。海外渡航時に「グローバルWiFi®」のモバイルWi-Fiルーターをレンタルしておけば、海外で高速かつ安価で、安全セキュアな環境でネット接続できるようになる。成長性から考えても、すぐに上場だとなっても不思議はないが―。

「起業としての実力が本当についてから、上場すべきだろうと考えていました。ですから、上場は2015年12月がベストの時期だったのだろうと思います」。

上場してからの変化はあったのだろうか。

「グローバルWiFi®」は、年間100万人以上の方々に利用いただいており、*(ビジョン調べ)まずまずの知名度はありますが、株式会社ビジョンという社名は、今までBtoB中心のビジネスでしたので、コンシューマーにはあまり知られていなかった。ですから上場を契機に、知名度や安心感が少し上がってきたように感じています」。

現在は、訪日外国人旅行者向けWi-Fiルーターレンタルサービス「NINJA WiFi®」も好調だ。今後は、安心・安全・快適なモバイルインターネット環境を活用する海外渡航者に、有益な情報を提供していけるよう、メディアサービスプラットフォーム開発など、サービス拡充、拡大をしていく予定だという。

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「通信の分野は変化が速い。今後は、会社やビジネスの構造も進化を遂げていくと思います。「良い差別化をするにはスピード感や変化をする柔軟性が大事だ」と、これから起業する方にはアドバイスしたいですね」。

現状ご提供しているサービスレベルや品質に安住せず、常に変化を恐れず進化してきた佐野氏。これからも時代をリードした事業を見せてくれるのだろう。

インタビュアー

株式会社KSG
眞藤 健一