株式会社ビジョンのボーダーレスな事業展開を印象付け、大きな飛躍につながったのは、海外用Wi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi®」だ。事業開始の2012年当時は、海外でモバイルインターネット接続を長時間利用すると、法外な料金を請求されるケースが多かった。それを世界各国の通信キャリアと直接交渉、契約し、現地のローカルネットワークを直接利用できる方法を採用した。海外渡航時に「グローバルWiFi®」のモバイルWi-Fiルーターをレンタルしておけば、海外で高速かつ安価で、安全セキュアな環境でネット接続できるようになる。成長性から考えても、すぐに上場だとなっても不思議はないが―。
「起業としての実力が本当についてから、上場すべきだろうと考えていました。ですから、上場は2015年12月がベストの時期だったのだろうと思います」。
上場してからの変化はあったのだろうか。
「グローバルWiFi®」は、年間100万人以上の方々に利用いただいており、*(ビジョン調べ)まずまずの知名度はありますが、株式会社ビジョンという社名は、今までBtoB中心のビジネスでしたので、コンシューマーにはあまり知られていなかった。ですから上場を契機に、知名度や安心感が少し上がってきたように感じています」。
現在は、訪日外国人旅行者向けWi-Fiルーターレンタルサービス「NINJA WiFi®」も好調だ。今後は、安心・安全・快適なモバイルインターネット環境を活用する海外渡航者に、有益な情報を提供していけるよう、メディアサービスプラットフォーム開発など、サービス拡充、拡大をしていく予定だという。
「通信の分野は変化が速い。今後は、会社やビジネスの構造も進化を遂げていくと思います。「良い差別化をするにはスピード感や変化をする柔軟性が大事だ」と、これから起業する方にはアドバイスしたいですね」。
現状ご提供しているサービスレベルや品質に安住せず、常に変化を恐れず進化してきた佐野氏。これからも時代をリードした事業を見せてくれるのだろう。