同社の足跡を概観しておきたい。設立は07年。当初の2年は毎月赤字を出しつづけ、武永氏が以前に経営していた会社の売却で得た自己資金も底を突き、存続の危機に瀕していた。軌道に乗ったのは09年に実施したプレミアム会員制度の導入である。当時獲得した会員は1万人程度だったが、これで黒字化できた。
社長の武永修一氏は「きちんとしたサービスを提供すれば毎月、継続的に黒字を出せる。黒字の範囲で投資を行なっていけばよいと思えるようになった」と振り返る。会員数の獲得に加えSEO対策に地道に取り組んだ。マニアックな商品になるほど同社がキーワード検索で上位に登場し、2年後に、訪問者数からプレミアム会員への移行というサイクルが廻り始めるようになった。当初100万人だった月間訪問者数は、現在では1500万人に達している。
2013年の東証マザーズ上場も大きな転機になった。「当社にとってM&Aや出資を積極的に展開し、良い人材を獲得する契機となった」(武永氏)。
上場以降、出資と買収を果敢に進めているが、どんな方針で展開しているのだろか。
武永氏は次のように語る。
「対象は上場か売却によるキャピタルゲインを期待できる企業か、シナジーを見込める企業のどちらかである。目的によって出資比率を分け、前者であれば1000~3000万円を出資する場合もある。シナジーを見込める企業に対しては株式を100%取得する方針を立てている」。
子会社化の案件を含め、出資はすべてどの案件も仲介会社を通さずに、武永氏の人脈から相手先と直に行っている。仲介会社から「何か案件がないだろうか?と聞かれる状態になってきた(笑)」という。
経済ジャーナリスト
小野 貴史