パソコンやデジタル機器の悩み事では、まずメーカーに問い合わせるのが普通だ。しかし、メーカーは、保証条件以外のサービスは受け付けないことが多い。ハードでなくソフトの問題であれば、「ソフトメーカーさんにご連絡ください」とユーザーをたらい回しにしてしまうこともある。「パソコンやデジタル機器の悩み事をワンストップで解消するサービスは、必ずニーズがあると判断しました。前にいた会社では、車のメンテナンスをメーカー問わずトータルで行う事業を行っていましたが、弊社では家の中にあるパソコンを含めたデジタル機器のトータルサポート事業を立ち上げたわけです」。
パソコン、デジタル機器の市場は、BtoBも、BtoCもあるわけだが、家喜社長は個人をメーンターゲットにすることにした。
「自動車関係のパッケージソフトの営業をしていたとき、パソコンが数台しかない整備工場などの中小企業もクライアントだったのですが、そこの人たちがパソコンのメンテナンスに苦労するのを知っていました。BtoCの単価は限られているのですが、マーケットは大きい。それに、BtoBは、クライアントからの値引き要求も厳しく、支払いサイトも長いのですが、BtoCは、値引きが少なくてすみ、キャッシュが入るという利点もあります」
ところが、フリーペーパーに広告を載せても、大量のチラシを撒いても、知名度はなかなか上がらない。背に腹は代えられないと、パソコンのメーカーや販売店を通じて、サポートサービスを提供しようとした。言わばBtoBtoCの、頭の“Bto”の部分を請け負う戦略だ。しかし、メーカーや販売店に既存のサービス業者がいたりして、食い込むのが難しかった。そこで、家喜社長は、水回りやカギのトラブルなどに対応する生活サポートサービス業者と組むことを考えた。たまたま生活サポートサービス大手であるジャパンベストレスキューシステム(JBR)の榊原暢宏社長の知遇を得、同社のパソコン関係のサポートサービス業務を受託したことが、飛躍する転機となったのだ。