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ネットセキュリティのパイオニアから次のステップへ / 熱中の肖像インタビュー前編イー・ガーディアン株式会社
代表取締役社長 高谷 康久

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京セラの課長から、MBOでベンチャー社長の道に。

ネットの投稿監視国内最大手の企業であるイー・ガーディアン。現在ではカスタマーサポートやゲームサポート、加えて最先端の技術である人工知能型画像認識システムを使って様々な違法画像の検出も行っている。社長の高谷康久氏は同社を2010年に上場させたのだが、それまでには思いもよらぬ道のりがあった。

あなたが大企業の管理職だったとして、ベンチャー企業の一部門を買って経営しないかと持ちかけられたらどうするだろうか。尻込みしてしまうだろうか、それとも思い切って買うだろうか。高谷康久氏の決断は「買う」だった。

その打診があったのは、高谷氏が京セラで課長として勤めていた時のことだ。高谷氏は京セラとKDDIが共同設立したデータセンターの立ち上げや携帯コンテンツの EZweb の作成、そのコンテンツプロバイダーとの折衝に携わっていた。

「取引先の会社の経営者の方から、コンテンツ事業を売却する予定なのだが、相手先の会社がサイトのチェックや監視をする事業は買わないので引き継がないかと声をかけられたんです」

高谷氏は密かに起業への憧れがあることをその経営者に話していたというが、普通なら売却先として声をかけるのは法人が多い。まだサラリーマンだった高谷氏個人に声をかけるのだから、よほどベンチャーの経営者としての素質を見込まれたのだろう。

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「ゆくゆくは飲食店をやりたいと思っていました。大阪人ですから粉もので勝負しようと、家でも色々と試作して家族に食べさせていましたね(笑)。ただ、話をもらった時にインターネットの裏側を安全にする仕事は廃れることはないと考え、やってみようと決心したんです」

マネジメントに京セラ流が通用しない?

高谷氏は店の開業資金として貯めていた金と退職金をはたいて株を譲渡してもらい、オーナー社長となった。36歳の時だった。経営者としていざ会社を動かそうとした時、名経営者稲盛和夫氏が創業した京セラで培ったマネジメントのノウハウが力を発揮するはずだった。しかし今まで働いていた会社とはタイプの異なる社員達に高谷氏は戸惑う。

「実際社員達と話してみると、仕事に対する価値観は多様であることを痛感しました。」

それでも京セラ流はどこでも通用するはずと、京セラ流朝礼や数字の追及など様々な改革を推し進めた。

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「驚いたのは朝礼に出るのが嫌だと辞めていく人がいたことです。これではいけないと、京セラ流を踏襲するだけではなく、手法の切り替えを検討しました。そのうちに新規採用したスタッフが増え、旧知の仲だった知人が会社の世界観に共感して参加してくれるようになり、古株と新規の社員が融合するようになりました。そこから、私自身のカラーが会社に浸透するようになりましたね。

京セラ稲盛さんを支えた森田さんがおっしゃっていたのですが、“家族意識を持てばその組織は発展する”と。ですから、私も“家族”というキーワードを大事にしています。全社員が大家族となって、仕事を愛して仲間を愛して、愛するからこそ怒るし、喧嘩もする。毎日、会社に来るのが楽しい、そんな職場にすることを心がけています。」

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We guard allという理念を掲げて | 『熱中の肖像』vol.30 イー・ガーディアン株式会社 高谷 康久社長 後編

インタビュアー

株式会社KSG
眞藤 健一