2003年、現COOの供田修一氏が推進する企業の計画書作成に関わったことを縁に、
ビューティガレージを設立した。理美容サロン向けの中古機材販売を手がけたが、当初から勝算を見込んでいた。
理美容業界では旧来の商慣習が生きつづけ、大手メーカー・大手問屋など一部の事業者よる寡占市場が形成され、サロン経営者は「先生、先生」とヨイショされながら高額な機器を購入する構図ができあがっていた。マーケティングの基本である3C分析(Customer、Competitor、Companyの3Cから成功要因を見つけ出す分析)などによって、この旧弊に風穴を開ければ、サロン経営者に適正価格で機器を販売する市場を開拓できる。
そう確信したうえに、野村氏はリユース市場を研究する。当時すでにIPOを果たしていたテンポスバスターズの躍進から、開業コストを削減させる店舗機器のリユースは、理美容業界にも膨大なニーズが潜在しているはずだと見通した。
読みどおり初年度から利益が出つづけた。2006年にはネットとリアルを融合させたオムニチャネル販売に進化させる。インターネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」、全国主要都市でのショールーム(現在9カ所)、さらにカタログ通販誌「BG STYLE」で理美容機器、化粧品、消耗品などプロ向け商材を販売し始めた。野村氏は「チャネルを融合してビジネスを仕組み化したことによって、販売状況や在庫などすべての管理を一元化できました」と成果を語る。
こうして既存の市場を変革しようとする同社に、既得権益を崩されるメーカーや問屋が黙っているはずはなく、ビューティガレージから仕入れたサロンへの納入停止や、同社からのメンテナンス依頼を拒否するなど抵抗に入る。いまどき児戯にも等しい行為だが、「業界の慣習を乱された」という被害者意識だけでなく、同社の空けた風穴の拡大を怖れてもいたのだろう。
この状況が一変したのは2006~07年頃である。PB商品の開発に着手し、「メーカー→問屋→一次ディーラー→二次ディーラー」と構成される中間流通を外した直接取引によって、既存相場の2分の1から3分の1の価格でサロンに供給し始めた。PB商品比率は拡大を続け、今では機器と化粧品を合わせて物販売上高の約60%を占めている。
経済ジャーナリスト
小野 貴史