R+houseは同社の会員である工務店などが建設する。それらの工務店が住宅オーナーから受注するほか、同社の会員である不動産会社が住宅オーナーに紹介するケースも少なくない。リリースから5年以上が経ち現在、年間建築棟数は約1000棟に達するが、「3~4年後には数倍に成長させたいですね。そうすれば、大手住宅メーカーの住宅シリーズと建築棟数で肩を並べ、全国ブランドとして価値が高まるでしょう」と、濵村社長は意気込む。
さらに、R+houseの廉価版ともいえる住宅建設システム「アーキテクチャル・デザイナーズ・マーケット(ADM)」を昨秋から本格リリースした。住宅オーナーが一戸建てを取得する平均年齢は現在、約37歳前後なのだが、その年齢層の所得水準が下がっているため、「住宅取得適齢期」の人たちに手の届きやすい低価格帯の住宅シリーズを用意したわけだ。規格住宅なので、不動産会社から引っ張り凧の人気だという。
「ADMはいわば、レディーメイドの住宅。設計を自由に変更できるR+houseに比べて、規格がある程度決まっています。それで、建物の価格帯が1800万~2400万円のR+houseに比べて、平均約1500万円とリーズナブルなのです。ただし、性能はR+houseに遜色ないですし、500~600種類のデザインから、自分の好きなものを選べます」。
一方、日本の住宅産業を変えるには、「エンドユーザーの情報レベルを変えることが重要」(濵村社長)との考えから、住宅購入予定の個人顧客向けに、住宅・不動産に関する専門知識を伝授する勉強会を3年前から熊本で始めた。「個人顧客の知識レベルが上がり、住宅を見る目が肥えれば、住宅産業の側も供給する住宅のレベルを上げざるをえなくなるからです」。また、全国住宅物件の70~80%をカバーできるデータベースの運用試験にも4年前から着手している。「現在、全国住宅物件の情報は多くても30~40%程度しかフォローできていません。新データベースが軌道に乗れば、ワンストップで住宅情報が得られるようになり、住宅流通の適正化・効率化が進むでしょう」と濵村社長は期待する。
濵村社長は、「日本の住宅産業は欧米よりも15~20年遅れています。急いで海外をキャッチアップしなければなりません」と力説する。同社では一戸建ての管理ビジネスがないことに着目、今後は地域の社会インフラ、セキュリティ体制などを総合的に管理し、住宅地全体の価値を上げる「タウンマネジメント事業」にも乗り出す方針だ。そのほか、「REIT(不動産投資信託)のような大口の不動産ファンドではなく、住宅を投資対象とした小口の不動産ファンドを設け、一般投資家からも住宅産業に資金を集める仕組みを構築したいですね。また、インバウンドの観光客を呼び込み、日本の観光資源を活用するため、民泊の全国システムも整備したい」と夢は尽きない。「初志は貫徹すべし」をモットーとしてきた濵村社長は、「日本の住宅産業を変える新しいチャレンジを、まだまだ続けたいですね」と意気軒高だ。