「仲介のフィービジネスですと、景気や市況の影響を受けやすく、どうしても浮き沈みが激しくなってしまいます。その点、オーナーから預かったワンルームマンションなどの物件の賃貸管理であると、入居者さえ決まれば毎月安定した収益をあげることがきます。それには魅力的な物件を数多く集める必要があるのですが、当社では入居の成約率の高さをオーナーの皆さまから高く評価していただいていることで、デザイナーズマンションなどの優良物件を数多く揃えられています」
そう語る清水社長の着眼点が鋭いところは、他の賃貸管理会社が仲介業者を通して入居者の募集をかけるのに対して、自ら賃貸仲介子会社である「アンビション・ルームピア」を立ち上げて、銀座、新宿、渋谷、池袋など都内ターミナル駅の近くに仲介店舗である「ルームピア」を14店舗も設けていることだ。それに加えて、資金・礼金のほかに火災保険料などもかからない「スーパーゼロプラン」を用意するなど、入居の敷居を低くする工夫も怠らない。その結果、空室率は1割を切っているというから驚く。
また、AMBITIONはオーナーに対して募集賃料の9割を5年間も保証する「かりあげ王」のプランを設けているが、それが可能なのも、そうした入居者を集める力があるから。そして、オーナーの信頼をさらに得やすくなり、いい物件がどんどん集ってくる好循環が生まれているわけだ。現在、AMBITIONが扱っている賃貸管理の物件の9割が東京23区内にあり、その大半が築8年以内の物件となっている。「東京は数少ない人口流入エリアで、そのなかでも23区内は入居者にとっても一番魅力的な場所です。そこに集中して物件を持っていることが、当社の一番の強みになっています」と清水社長はいう。
12年からは、買い取ったワンルームマンションなどの物件をリノベーションして売りに出すインベストメント事業をスタート。実はここでもルームピアを持っていることが大きな意味を持っている。「入居者が望んでいるフローリングだったり、洗面台だったり、入居希望者と直接取り引きしていることで移り変わる時代に合ったニーズを的確に摑み取ることができます。それをリノベーションに活かして、付加価値の高い物件にしてから売却するようにしています」と清水社長は話す。
その清水社長にIPOの目的を尋ねると「まずメジャーになること。そして、ITとは関係のないリアルビジネス、それも絶対に無理だといわれていたベンチャー企業の賃貸ビジネスでもIPOが可能なことを証明したかったらです」との答えが返ってきた。とはいえ、08年のリーマンショック、11年の東日本大震災など07年の創業以降、数々の荒波がAMBITIONを襲ったはず。清水社長はどのようにして乗り越えてきたのだろう。