ブレイクしたのは15年頃からである。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのレスリー・ウィルコックス教授が「RPA」と命名し、調査会社やコンサルティング会社が次世代の経営技術としての普及させた事が引き金になった。さらに第三次AIブームが普及を加速させた。
16年には同社以外にRPAのサービスを手掛ける会社は殆どなく、国内シェアは16年で80%を超えていた。だが、17年以降に多くの企業が続々とRPAに参入し、高橋氏によると「17年の1年間だけで関連サービスを含めて300社以上が参入し、マーケットは活況を呈しています」。それだけ需要が多いのだ。
そんな状況のなかでも、同社の業績は好調である。既存顧客による「BizRobo!」の追加導入や、新規顧客への「BizRobo!」新規導入が順調に推移し、今期の導入数は予想を上回る見通しとなった。RPAを駆使したアドネットワーク事業では、既存顧客への提案などを強化した結果、受注拡大が順調に推移している。
19年2月通期には、連結売上高72億700万円(前年度41億8800万円)、経常利益6億5500万円(同4億5000万円)を見込んでいる。
今期以降はRPAを活用した新規事業の開発にも注力する方針である。
「RPAを導入企業が道具のように使いこなせば、どこでも大きな効果が出ます。デジタル情報革命は、30年前のパソコン、20年前のインターネット、10年前のスマホといった具合に、だいたい10年に1回、技術の大衆化によって生産性革命と事業の再定義が起きています」
高橋氏は、IT産業の変遷を踏まえて、RPA市場の拡大を確信している。
「30年前はパソコンを操作できる人はヒーローでしたが、ビル・ゲイツ氏によって誰もが道具のように使えるようになって、産業の形態が変わりました。その10年後にはインターネットが大衆化して、皆が道具のように使いこなすようになり、それまでの事業が「インターネット事業」として再定義されました。
さらに10年後にスマートフォンが登場し、当初はオモチャのような端末でしたが、機能の高度化と大衆化により、中国では財布を含むあらゆる機能までスマホの中に入り、劇的に生活が変わりました。これからの10年はロボットとAIの大衆化によって、多くの事業が再定義されると考えています」
たとえこの予測どおりに推移しなくとも、経営環境が変化することだけは歴史の必然である。同社の事業内容も売上構成比も、現在とは大きく変わっていくかもしれない。高橋氏はどう構えているのだろうか。
「常にチャレンジャーとして時代の変化を事業機会ととらえ、新規事業創造にチャレンジしつづけます。結果として、現在主力のRPA事業も数年後には『その他の売り上げ』になることも考えられます」
この変化対応にあっても、同社には不変の原理原則がある。
列挙すると、
①顧客を幸せにすること
②協力企業と切磋琢磨する関係を築くこと
③従業員を物心両面で幸せにすること
④利益を出して納税を支払う事によって国に貢献すること
⑤株主に適切な還元をすること
⑥利益を将来変化に対する善の循環を廻す投資に充当すること
そして、この6つに対して責任をもつことである。
6つとも、アーリーステージ期の経営者にも実践してほしい内容である。
経済ジャーナリスト
小野 貴史