そして、価値=対価の世の中にしたいのであれば、まずは自分たちも価値=対価のサービスを提供しないと辻褄があいません。それで、成果報酬型を選びました」
長らく、同社の主力事業はコストマネジメントであったが、最近は売上拡大に向けた成果報酬案件が急増している。メインターゲットに置いているのは、売上100億から数千億円の中堅企業。このゾーンでは、良質なコンサルファームが存在しておらず、加えて成果報酬であれば十分ニーズがあると見込んだからだ。
同社の業績は好調だ。快進撃を続けている。それでも、上場までに8年半もの歳月が掛かったことには、「もう少し早くできたのでは」というのが本音のようだ。
「今の自分がスタート時から経営していたら5~6年あれば十分実現できました。残念ながら、スキルも努力も足りなかったんでしょうね。実際、比較すると思想とか考え方、性格が全然違い、今の方が能力として上回っています」
それは、言い換えれば佐谷氏が経営者として年毎に着実に成長してきた証ともいえるが、これまでにターニングポイントとなるような局面はなかったのであろうか。
「大変だったというのはありますが、経営者を辞めたいとか精神的にきついといったことはなかったですね。ただ淡々と目の前の仕事をやるだけ。今自分ができることを愚直にやるしかないという感じでした。それに、『これ難しいなあ』と思うと、どうやったらクリアできるんだろうといつも考えていました。『できません』とか言われると『どうやったらできるようになるか』を考えるのが楽しくて堪らない。できないことをできるようにする、それが仕事の価値だと思っています」
様々な困難を乗り越えての上場。佐谷氏は上場をどう位置付けているのであろうか。
「いろんなことが自由になることです。会社として業務提携も、営業活動もしやすくなります。信頼を得られますし、資金が調達できることでやれることが増えたり、色々な投資もできます。会社のブランドが高まることで社員も転職しやすくなる。」と笑顔で語る。
ライター
袖山 俊夫