岩城氏によると、米国の医療は初めに治療ありきで下流からアプローチするが、ドイツ医学の影響を受ける日本では診断プロセスを重視し、上流からアプローチする。この傾向は依然として変わらず、アルツハイマーを例にとれば、日本では疾患を根治しようと診断に注力する。一方、米国では症状の進行を遅らせ、健常者と同等のアクティビティが可能になるように、QOL(生活の質)重視の医療を提供するほうに重点を置いている。
「国民の健康が担保されて初めて、産業育成や都市形成など社会が成り立つ。私は日本の医療に風穴を開けたい」と力を込める岩城氏は、特異なビジネスモデルを確立した。
同社は、まず欧米での開発体制を有していない日本の中堅製薬企業から、フェーズ1(安全性治験)にある医薬品候補化合物の欧米での開発販売権利を取得する。その化合物に対して2つのチャネルで臨床開発を進め、フェーズ3、承認申請を経て新薬開発・販売に結びつける。
ひとつは自社による臨床開発である。もうひとつのチャネルは提携先による事業化で、フェーズ3で開発販売権利を提携先に導出し、当該企業で臨床開発を実施して新薬開発・販売を展開する。