臨床開発中の医薬品が上市されるのは数年後の見通しだが、適応症によっては、世界で1兆円以上の市場が潜在しているという。
同社の14年12月期実績は売り上げが発生せず、営業損失は11億2900万円、純損失は11億2500万円で、15年12月にはさらに損失が拡大し、営業損失と純損失とも13億3900万円を見込んでいる。しかし投資家の期待は大きく、日本法人の株主は8000人に及び、個人株主の多くが長期保有者だ。なかには、同社が治療薬を開発中の特発性肺繊維症の患者家族も含まれている。
「当社の活動拠点は米国なので日本人のレーダーに入りにくいが、8000人の株主に支えていただいていることは、それだけ期待されているからだと受け止めている」
粛然とした表情を見せる岩城氏は、若手の医師たちに後に続いてほしいと望んでいる。
「医師が創薬ベンチャーに関わる意義は、治験に医師の深い関与が欠かせないことにある。自然科学の良いところは、先輩が築いた蓄積のうえで自分の仕事ができることなので、私は若い医師たちに喜んで経験をシェアしたい」。