「地方には経営不振に陥っている小売店や飲食店チェーンが多い。十勝たちばなの再生を成功させたら、どんどん手がけていきたい」(福井氏)
68年生まれの福井氏は今年46歳になる。同社を設立したのは35歳のときだった。設立以来3期連続赤字で、累積損失は約1億5000万円、借入金は2億円近くに膨らみ、経営幹部が次々に退職していった。この苦境を乗り切れたのは、先発企業と一線を画すMSのヒットや、京セラ創業者・稲盛和夫氏の盛和塾で学んだ「経営理念の大切さ」が大きいというが、もうひとつ、福井氏の年齢にも起因するのではないか。
日本政策金融公庫総合研究所が12年に実施した起業時の年代別調査によると「予想月商の達成率」「黒字基調」とも、34歳以下、35~54歳、55歳以上の順に高かった。起業年齢が若いほうが成功率は高いといえるのだ。福井氏も若いうちに起業することを勧めている。
「私はけっして若いとはいえない年齢で起業したが、起業するなら若いときのほうがよいと思う。40代で起業して失敗したら挽回するのが大変だが、20代の失敗なら世間も再チャレンジの機会を与えてくれる」
経営者人材としての伸び代も若いほうが大きい。経験を蓄積してゆくうちに、ビジネススキルだけでなく、何より器を拡大できるのである。