宮内氏によると、同社のチャレンジとは社員数、価格帯、物件種別、エリアなどの固定概念にとらわれず富裕層が抱く多様で要求水準の高いニーズに応え事業を拡大していくことだという。
この数年の新たな取り組みに挙げられるのは、インバウンド需要を背景にしたコンパクトホテルの開発である。不動産投資事業のさらなる差別化として、既存のオフィスビルをコンパクトホテルへと用途変更する事業を展開している。すでに1棟を売却し、5棟を開発・商品化中だ。
商品化した物件の販路として2015年5月に現地100%子会社ビーロット・シンガポールを設立し、アジア圏の投資家の開拓に着手した。ハードルが高いシンガポール政府所管の不動産取り扱いライセンスをすでに取得、現地子会社社長には創業メンバーの長谷川氏が就任し、現地に常駐している。宮内氏は「富裕層を開拓するには、最高幹部がみずから現地に張り付いて営業に出向き、すばやい判断を下していく必要がある。」と意図を話す。
さらに翌2015年6月には、北海道ニセコ町の不動産会社株式会社ニセコライフプランと業務提携し、土地1000坪・延床面積800坪のコンドミニアム建設プロジェクトをスタートさせた。ニセコのスキー場を覆う雪は「パウダースノー」といわれる質の良さで海外での評価が高く、外資系デベロッパーが開発を多く手がけている。北海道、シンガポールに拠点をかまえる企業として同社ならではのインバウンド向け商品の開発、販売に挑戦する。
これらの成長ドライブを足がかりに、中期経営計画で掲げる業績目標は、2017年12月期に連結当期純利益7億円超の達成である。宮内氏には大切にしている経営の原則があるという。
「不動産業界を「信頼される業界」に変革しようという高い意識を持つこと。社会規範に準拠した上での利益の追求と長期継続的な成長を実現すること。この原則をもって雇用促進や地域活性化など、社会に貢献していきたい。」
経済ジャーナリスト
小野 貴史