海外展開を考えている外食企業の経営者が大勢いるはず。西山社長の言葉はぜひ頭のなかに叩き込んでおく必要があるだろう。
その西山社長が国内事業に目を転じたときの中期的な目標が、前編で紹介した「すみれ」「Team86」、「カルネヴァーレ」などのグループ企業をさらに育て、IPO(株式上場)させていくこと。ダイニングイノベーションは各社に必要な資金を出資したり貸し付けている。同時に経営指導も行なっており、ファンドだけでなくインキュベータとしての役割を担っている。「18年からIPOを順次実現させていきたいと考えています」と西山社長は話す。
そうした外食マーケットにおける〝起業の達人〟である西山社長に、起業の成功の秘訣を尋ねると、次のように答えてくれた。
「ほとんどの人は、『このコンセプトであれば業態に新しい価値を付加できる』と考えて起業します。そして、1店舗目で手ごたえを感じれば、多店舗化を目指すようになるのです。しかし、そのコンセプトが本当に多店舗化にマッチしているかどうかは分かりません。逆に私は初めから300店なり500店なりの多店舗化を前提に、新しいコンセプトを考え始めます。ですから、スピーディーに多店舗化を進めることができるのです」
これまで西山社長は、焼肉、焼き鳥、ラーメンなど、目標300店舗ならその展開が十分可能な、既に市場が確立しているところに新しい価値を付加し、自らのポジションを切り拓いてきた。一時流行したものの、すぐに姿を消してしまう単なる流行モノには、決して手を出さない。「どんな業態も、成長期、成熟期、衰退期があります。その衰退期にどの位の水準で下げ止まるのか、市場が確立している分野であれば、ある程度読めるからです」とも西山社長はいう。
西山社長の2015年度の目標は国内外合わせて200店舗体制の確立。急成長するダイニングイノベーションから益々目が離せそうにない。また、そうしていくなかで学ぶべき点が多いことに、改めて気づかされるはずだ。