既にベトナム国内では、官公庁や大手飲料メーカーが本サービスの導入検討を開始しており、今後はアジア各国での展開を目指していくとしている。
【1】背景
ベトナムは国民の平均年齢が約28歳と若く、若者を土台とした人口ピラミッドが形成されている。また、2029年には人口が1億人を突破すると予測されており、今後の内需拡大が非常に期待されている国でもある。順調な経済発展を背景として国民の所得も増加しており、都市部では高級ブランドショップや、高級ショッピングモールなども次々に登場している。
また、日本のオフショア開発相手国としてはインドを抜いて第二位と堅調な伸びを見せている一方で、近年は平均賃金や物価の上昇の影響を受け開発コストが増大している。これは、ベトナムの経済発展とともに東南アジアの有力なオフショア拠点から、一つの独立した市場に変化してきていることの表れと考えている。
このように急激な伸びをみせるベトナム市場において、データセクションのAI技術は、官公庁や消費者向けメーカーがさらなる発展を遂げるために欠かすことのできない要素になると考えているとしている。
【2】今後の展開
・ベトナムにおける展開
ベトナムではここ数年でいくつもの新しいリゾートホテルが建設されるなど、東南アジアにおける人気観光スポットとして注目が集まり、諸外国からの渡航者が急増している。また、9X世代と呼ばれる1990年代生まれの若者たちが、伝統や習慣にとらわれることない独自のスタイルで新たなムーブメントを創造している。それらの流れで新たな需要が創出されてきていることから、今後次のようなシーンでの活用を想定している。
①自動車産業における価値創出
バイクが主な交通手段であるベトナムでは、交通事故による死亡事故が年間9,000人、負傷者は24,000人にも及ぶ。しかし、交通事故の件数に対して、自賠責保険の加入率は20%程度と思わしくない。自動車はまだまだ一般の生活者にとっては日常的ではないが、経済成長と共にその販売台数は確実に伸びている。自動車保険のAIによる適切な保険の提案や料金算定に大きな需要があると考えている。
また、外国人旅行者に対するアンケートで、ベトナムで悪い印象を受けた問題として4割の人が交通の安全性を挙げている。AIによる自動運転技術と共に普及させることが観光産業のさらなる活性化に繋がると考えている。
②わいせつ表現フィルタリング
ベトナムではわいせつ表現となる基準が厳しく、例えば日本では通常販売されている週刊誌の写真レベルでも法律違反となり処罰される可能性がある。また、ベトナムではウェブコミックが若者を中心に急速にユーザーを獲得しており、クラウドファンディングの導入で読者が作品に出資するなど市場が過熱している。これらの不適切とされる情報の識別にAI画像解析技術を適用できるものと考えている。
③化粧雑貨市場の拡大
ここ数年で化粧品に大きくお金を使う女性が増えてきており、世界的なアッパーブランドからミドルブランドまで幅広い層が高級ショッピングモールを中心に展開してきている。それらのためのマーケティングインサイト調査だけでなく、例えば消費者の肌質に合った化粧品、肌色に合わせたファンデーションをAIでサジェストすることで、販売促進に繋がるものと考えている。