この実証実験は、工場や大規模施設を対象にモーター系の動力用三相電力線や、LED照明に使用される基幹の三相電力線などを通信用として利用するためのものである。既存の電力線を利用することにより、新たな通信線の配線が不要となり、無線の不感場所にも活用できる。また、高速PLCの国際規格であるIEEE 1901に、マルチホップ技術 ITU-T G.9905を対応させること(以下、「HD-PLC」マルチホップ)で、接続端末が1000台規模のシステムを実現できる。これにより、複数の端末間をホップさせ、電力線を使った数Km程度(※2)の長距離通信が可能となり、大規模施設等でのネットワーク化に対応できるようになった。パナソニックは、既に福岡事業場にて屋外での「HD-PLC」マルチホップの利用に向けた様々な実験を行っているが、新たに、佐賀工場を実証工場として、2017年10月よりHD-PLCを三相電力線で利用した実証を開始予定である。こうした取り組みを通じ、技術的な課題抽出やIoTアプリケーションなどの実用化に向けた検証を進めていく。また、パナソニックは、高速PLCの国際規格であるIEEE 1901(※3)に対応した「HD-PLC」のライセンス提供を2010年より行ってきた。「HD-PLC」の活用用途は幅広く、最近では、家庭用LANとしての活用から、産業用途や社会システムの通信インフラとしての活用へと広がっている。※2 最長通信距離は通信環境により変化する。※3 IEEE 1901:米国電気電子学会(IEEE: Institute of Electrical and Electronics Engineers)傘下の通信規格に関する標準化委員会