「今回、データの所有権を明確に定義して安全かつ分散的にデータを管理すれば、運輸プロセスにおいて多くの書類が不要になる可能性が明らかになりました。これにより、企業は、時間とコストを節減しつつ、顧客サービスを改善することができます。」
同コンソーシアムは、国際輸送に関わる代表的な企業や組織で構成されている。今回、規制要件がそれぞれ異なる12カ所への輸送案件を対象に、本ソリューションの実証を行った結果、ブロックチェーンによって運用コストの削減とサプライチェーンの可視性の向上を実現できることが分かった。
今回の実証実験では、運輸プロセスにおける代表的な役割をコンソーシアム内の企業、組織で分担した。アンハイザー・ブッシュ・インベブは輸出企業として、APLは運送会社として参加し、キューネ・アンド・ナーゲルは運送会社に指示を与える役目を担ったほか、ヨーロッパの税関組織は貨物に課される規制要件を実証の中で再現した。アクセンチュアはテクノロジーおよびコンサルティングの観点でブロックチェーンに関する知見やノウハウを提供したほか、迅速にプロトタイプを行うため、シンガポールにある同社のIoT専門チームと連携して、本ブロックチェーン ソリューションに必要なテクノロジーアーキテクチャを開発した。
APLでストラテジック・ライナー・マネジメントを統括するエディー・ング氏(Eddie Ng)は以下のように述べている。
「APLは、国際貿易を促進し、イノベーションを強く支持する企業として、ブロックチェーン技術が持つ大きな可能性に注目しています。ブロックチェーンにより、コンテナ輸送業界のデジタル変革は大きく前進し、従来の紙ベースの手続きは、サプライチェーン全体でより効率的で安全かつ高速な手続きに置き換わっていくでしょう。今回の実証は、ブロックチェーンをはじめとした創造的破壊をもたらす技術が、業界、ひいては荷主やその顧客にどのように役立つかを検証するものであり、こうした画期的な取り組みに参加できたことを光栄に思います。」
キューネ・アンド・ナーゲルの最高情報責任者(CIO)であるマーティン・コルベ氏(Martin Kolbe)は以下のように述べている。
「当社はデジタル化戦略の一環として、お客様にメリットをもたらす革新的な技術の活用方法を模索しています。ブロックチェーンは、物流業界で最も有望な技術の1つであり、今日の紙ベースのプロセスの多くをデジタル化して、バラバラだった物流情報システムのインターフェースを整備できる可能性を秘めています。今回のプロジェクトでは、さまざまな企業や組織が相互に連携しながら実証を行いました。こうしたアプローチこそが、業界をけん引しながら、市場で受け入れられるためのカギになると考えています。」
アンハイザー・ブッシュ・インベブで国際物流事業のバイスプレジデントを務めるダニーロ・フィゲイレド氏(Danillo Figueiredo)は以下のように述べている。
「当社は、新しい技術とイノベーションを絶えず評価することで、お客様のニーズに応え、新鮮なビールを提供できるオペレーションの整備に取り組んでいます。ブロックチェーンは、当社のビジネスのみならず、世の中にも変革をもたらす技術になるでしょう。ブロックチェーンによって業務上のミスが減り、情報がデジタル化され、サプライチェーンのプロセスが改善されれば、当社は、お客様のために最高のビールを作るという中核業務により集中することができます。」