森永乳業が0歳から104歳までの健常者を対象に行った研究から、加齢に伴う「腸内フローラ」の変化が明らかにされている。たとえば乳幼児に多く見られる「乳幼児型」や、高齢者に多く見られる「高齢者型」など大きく4~5のタイプに分かれることが判明。当実証事業ではこれらのタイプを「推定腸内年齢」と定義している。中には実年齢が若いにも関わらず、推定腸内年齢が「高齢者型」に分類される方もおり、それは実年齢よりも腸内フローラが老化していることを示している可能性がある。
近年では腸内フローラが肥満や腸疾患、大腸がんといった様々な病気や老化に関連することが判ってきており、腸内フローラ解析による健康や未病状態の可視化が注目されてる。
実証事業によって推定腸内年齢を判別する新たな「未病」サービスの開発が実現することで、将来的には血液検査などよりも手軽に自分の健康状態が把握できるツールとなる可能性があり、さらには意識や行動変容を促すことで健康長寿社会の実現への貢献も期待できる。
なお、今後は腸内フローラと遺伝情報の関連についても研究を実施する予定。
(※1)人間の腸内には多種多様な細菌が多数共存しており、特に大腸ではそれらが非常に密集して生育しています。顕微鏡で覗いた際にはこの状態がまるで「花畑(フローラ)」のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内細菌はビフィズス菌などお腹の調子を整える「善玉菌」、病原性大腸菌など腸内で有害物質をつくる「悪玉菌」、周囲の環境によって体に良い働きをしたり悪い働きをしたりする「日和見菌」からなり、そのバランス(腸内フローラ)によって「腸内環境」に変化が生まれます。
(※2)「未病」とは、健康と病気を明確に分けて捉えるのではなく、心身は健康と病気の間を連続的に変化するものと捉える概念です。「病気でなければ健康」ではなく、病気に徐々に近づく状態を把握し、改善することを推奨するための考え方です。