今回、本共同研究で構築した設計手法を大型、中型の6軸産業用ロボットアームに適用して、実機試作、実機検証を行った結果、初号機で量産機に近い性能を達成することができ、本設計手法の有効性が実証できた。
これにより、開発期間を大幅に短縮する産業用ロボットアームの設計手法の実用化にいたった。
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以下、豆蔵社より引用
【本研究の概要】
一般的に、産業用ロボットアームの新規開発では、既存のロボット開発の経験に基づいて実機ベースで試作・検証を繰り返しますが、実機試作には時間を要するため、完成までに数年の期間を費やしておりました。そのため本共同研究では、少ない実機試作回数で同等の性能を達成する設計手法の構築を目指してまいりました。
本共同研究で構築する設計手法では、実機の代わりにコンピュータ上にロボットアームのモデル(CADモデルおよびシミュレーションモデル)を作成します。この際、物性や部品特性など、精密なデータを用いてモデリングします。次に、同じくコンピュータ上でそのモデルの動的解析、静的解析、構造解析を行い、解析結果をモデルにフィードバックします。こ
れを繰り返すことで設計の最適化を行います。これによって得られた設計結果から実機試作を行います。製作された実機に対してシミュレーションと同様の性能評価を行って性能(出力トルク、最高速度、先端の位置精度など)の差異を抽出し、その結果をシミュレーションモデルにフィードバックしてシミュレーションの精度を高めます。
【本研究の成果】
本共同研究で構築した設計手法をメーカーに提案し、大型(165kg 可搬)、中型(20kg 可搬)の 6 軸産業用ロボットアームの実機試作および実機検証を行いました。その結果、コンピュータ上でのシミュレーション値と実機での実測値がほぼ一致した結果を得ることができました。これにより、コンピュータ上でロボットアームの性能を評価することが可能であることが確認できました。
コンピュータ上で設計の最適化を行ったことで、初号機で量産機に近い性能を達成することができ、本設計手法の有効性が実証できました。これにより、開発期間を大幅に短縮する産業用ロボットアームの設計手法の実用化にいたりました。
また、本共同研究では本設計手法をロボットアームの開発プロセスとして定義しました。これまで、各メーカーで暗黙知になっていた開発プロセスを形式知化することで、新規参入メーカーでも短期間で競争力のある産業用ロボットアームの開発が行えるようになります。また、本設計手法は産業用ロボットだけでなく、幅広い分野のロボットアームにも適用できると考えており、今後、適用範囲の拡大を検討しております。