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東京大学発ベンチャーのAgIC(エイジック)、1億7,500万円の第三者割当増資を実施

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プリンテッド・エレクトロニクス・ソリューションを提供するAgICはBeyond Next Venturesが運用するファンドをリードとし、さらにセメダインを割当先とする第三者割当増資により、総額1億7,500万円の資金調達を実施した。
今回の資金調達でAgICは、今後成長が期待される産業用途でのプリンテッド・エレクトロニクス・ソリューションの展開を進めるべく、人材の拡充及び生産設備の開発を行う。今回の調達に伴い、経営体制の強化を目的として、Beyond Next Ventures代表の伊藤毅氏を社外取締役に新たに迎え入れた。また、セメダイン株式会社とはプリンテッド・エレクトロニクス技術の開発及び市場開拓について協業を推進して行く。

AgICの概要
AgICは、“Electronics Everywhere”をミッションに掲げ、電子回路を印刷により製造する技術を開発することで、これまでの電子回路の概念を変え、世界のあらゆるところに電子回路を埋め込むことを目標としたプリンテッド・エレクトロニクス・ソリューションを実用化している。厚さ約0.1mmのプラスチックフィルムの上にインクジェット印刷で電子回路を形成することで、これまでの電子回路より薄く、軽く、柔軟で、サイズの制限が無く、オンデマンド・少量多品種生産可能な電子回路製造を実現している。

すでに実用化されている利用例としては、広告代理店と連携しポスターの裏に電子回路を埋め込むことで、「触ると光るポスター」「スマホと連動するポスター」など、従来アナログ媒体であったポスター広告をデジタル広告化するという用途で活用され、実際に映画のポスターなど様々な場所で利用されている。

さらに現在は住宅・スマートハウス領域に注力しており、「印刷により厚さ約0.1mmの床暖房シートを製造し、敷くだけで簡単に施工が完了する床暖房を実現する」などの応用を実際に制作し、展示会などで発表しており、この分野でのパートナーを開拓していく計画。

AgICは積極的にパートナーシップを拡充している。今回資本提携したセメダイン株式会社に加え、三菱製紙株式会社とも前回ラウンドで資本提携を実施しており、さらに大型インクジェットプリンタの製造販売を手掛ける株式会社ミマキエンジニアリングとも協力関係を構築するなど、各パートナーと連携しつつ事業を進めている。引き続き、上記住宅関連領域でのパートナーを含めた積極的なパートナーシップ拡充、製造技術開発、応用開発を通して事業を発展させていく方針。なお、セメダイン株式会社とは、同社が持つ接着剤技術を応用したプリンテッド・エレクトロニクス技術の開発及び市場開拓を共同で行っており、第2回ウェアラブルEXPO(2016年1月13日〜15日)では布への回路印刷のデモンストレーションを行った。

プリンテッド・エレクトロニクスについて
プリンテッド・エレクトロニクスとは、これまで主にエッチング等の方法で製造されていた電子回路や電子デバイスを印刷技術により製造する技術で、低コスト化、省資源化、軽量化、製造の柔軟性の増加などが期待されている。応用先はスマートホーム、ディスプレイ、ウェアラブル、自動車、航空機など多岐に渡り、2024年までに750億ドルの市場になると予想されている。
米国では2015年8月に「次世代の製造技術において米国がリーダーシップ取るため」と銘打ち、ホワイトハウス及び国防省が先導してプリンテッド・エレクトロニクスに特化した研究所を設立し$171Mの投資を決めるなど、今後の急成長が期待されている。