以下、NEC社より引用
トラステッドハードウェアをフル活用して高い処理速度を実現
参加ノード数が200ノード程度の大規模環境下で、毎秒10万件以上の記録性能を実現しました。これは、近年の汎用プロセッサが備えるトラステッドハードウェアTEE(注)のセキュリティ機能を最大限を活用して、参加ノードが合意形成するために必要な通信量ならびに通信回数を削減することで実現しています。
取引情報のプライバシーを保護
取引情報を全参加ノードに一律に公開するのではなく、取引情報の公開範囲を限定できる仕組みを開発しました。これにより、特定グループ内の取引情報はグループに属するノードにのみ公開するという制御が可能になります。
IoTデバイスからも高速で安全なデータ参照を実現
IoTデバイスがブロックチェーンのデータを参照する際に、個々の参加ノードが故障や悪意により記録と異なる情報を回答する場合があるため、複数の参加ノードに問い合わせて検証する必要があり、処理能力が限られるIoTデバイスには負担になります。そこで、参照の際にも、各参加ノードのTEEを活用して、IoTデバイスでも高速な検証を可能にしました。
本技術により達成された性能は、世界規模のクレジットカード取引を支えるシステムに必要とされる、毎秒数万件を上回っており、記録性能やノード数の制約によってブロックチェーンの適用を断念していたケースへも対応が可能になります。また取引情報のセキュリティとプライバシーを保証することで、個人情報や企業秘密にあたる取引の取扱も可能になります。
NECでは、現在取り組んでいる金融機関との実証実験(PoC)を進めるとともに、今後は金融以外への応用も視野に入れ社会インフラに要求される性能や機能を実現するブロックチェーンおよび上位レイヤの研究開発を進めます。
(注)TEE (Trusted Execution Environment). メモリ空間の一部を特定のプログラムからしか読み書きできない領域として保護する機能。たとえ管理者権限があってもその領域は読み書きできないため、サーバやPCが攻撃者に乗っ取られても、その領域内で行われる処理は正しいことが保証されます。代表例にはIntel SGXやARM TrustZoneなど。