グラウンドアンカー(以下、「アンカー」という。)は、斜面や構造物を安定させる抑止工として施工されている。アンカーの緊張力管理は、建設時に一部のアンカーの頭部に荷重計を設置し定期的に計測する方法により行なっている。しかし、荷重計は正常に機能している期間は、容易に計測できる利点があるが、荷重計の機能が低下してくると交換などが容易ではないため、アンカーの緊張力はリフトオフ試験を実施し計測しているところである。現在、リフトオフ試験は機器が大がかりであり、多大な時間とコストを要することから、効率的に調査する方法として非破壊調査手法の開発に着手する。本調査手法は、アンカー緊張力により「支圧板」や「定着具」に生じる応力分布をX線回折を用いた応力推定手法により非破壊で測定し緊張力を評価するものである。開発にあたっては、大阪大学大学院工学研究科(鎌田敏郎教授、寺澤広基助教)と大阪大学接合科学研究所(堤成一郎准教授)がアンカーの設置されているのり面でのX線による計測結果等を基に、その有効性も含め解析していく。