ビジネスモデルにおけるすららネットの主な役割は、1)e ラーニングコンテンツの開発・改良の継続、2)連携する現地企業への研修・スーパーバイザーの教育と派遣、3)塾生への ID 発行と 管理、4)塾生の学習状況の分析と塾へのフィードバックなど。 一方、現地企業は、各地の「Surala Juku」への窓口となり、ファシリテーター(塾の教師)の研修及び経営支援、現地スタッフの管理、e ラーニング使用料の徴収を行うことが主な役割となる。
女性銀行(※2)と Foundation for Health Promotion(FHP)(※3) を運営パートナーとしたパイロット塾 2 校を 2015 年 5 月 18 日に開校 して以来、これまで累計で 13 校開校と順調に校舎が増えている。 (10 月 25 日現在) 塾では、クラウド型学習システム「すらら」を スリランカの主要言語であるシンハラ語にローカライズした「Surala Ninja!」を用いて日本の算数技能の学習を行いながら、パソコンの使い方や日本流の「しつけ」(規律や自立学習)も身に付けられる。
学習成果の調査では、小学 3 年生の足し算における当初の平均点 が 34.6 点であるのに対し、プロジェクト終了後は 71.7 点と 2 倍以上 の伸びが見られ、e ラーニング学習をしていない基準校と比較しても 顕著に成績が伸びるという成果が出ている。
また、学習塾の運営において、生徒の指導役であるファシリテーターを現地採用することにより貧困地域における女性の雇用創出にもつなげている。ファシリテーターの 97%が女性であり、 Surala Juku で働き始めたことで、92%のファシリテーターの収入が増加した。
スリランカの BOP 層の状況は、世帯月収 4 万ルピー以下が 9 割、2 万ルピー以下は 3 割ですが、 通塾率は 7 割で、特に小学校 3~5 年生では 7~10 割と多くの生徒が通塾している。塾の月謝は 300~1500 ルピー以上まで様々で、平均 1000 ルピー程度です。家庭の e ラーニング環境は 45%が パソコンを所有し、32%がインターネット接続している状況で、急速な改善が予想されるため、e ラーニングを活用する可能性がますます高まると考えられる。
スリランカは 2009 年の内戦終結後、復興需要や経済活動の活性化等によって、経済成長が著しく、海外からの観光客数も治安の改善により 2015 年は 4 年連続で 100 万人を上回るなど、今後の発展がさらに期待されている。
すららネットでは、「世界中の教育格差の根絶」を理念としており、今後も品質の良い教育を低価格で提供することで、教育格差を解決していきたいと考えている。
(※1)「 Base of the Pyramid」の略。世界の所得ピラミッドの中で最も収入が低い所得層を指す言葉。約 40 億 人と言われている。
(※2)女性銀行:BOP 層の女性を対象としたスリランカのマイクロファイナンス組織。今回のプロジェクトを通じて、BOP 層へのファイナンス支援だけでなく、教育支援と雇用創出も行っていく計画。
(※3)Foundation for Health Promotion(FHP): BOP 層を対象に親の健全な生活習慣を根付かせることにより子 どもの生活・教育レベルを引き上げるなどの活動を行う組織。