6月25日に開いた起工式に伴う記者発表会で、河野社長が改めて表明した。東京に3棟開くほか、1号店を昨年8月に開業した札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡などを想定しているという。近隣の自社会議室の利用者向けに宿泊を提供する。
東京をはじめ大都市では最近、景気回復やインバウンド観光客の増加もあってホテルが料金が高騰したり予約しづらくなったりしている。その影響で企業によっては全国の支店長会議などの開催を取りやめるケースもあるという。「自社でコントロールできるホテルを持つことで、会議室需要を取りこぼさないようにする」(河野社長)狙いだ。
日暮里の新ホテルは15階建て。客室数は全278室で、1階には会議利用も想定し、朝食用レストランを設ける。TKPは会議室について所有せずしない経営を基本方針にしているが、今回は土地を取得し、建物も自前で建設する。投資額は明らかにしていない。
TKPがアパホテルをパートナーに選んだのは、経営陣の良好な人間関係に加え、ビジネス需要という顧客層が比較的共通するためだ。アパは新都市型ホテルを標榜し、ビジネス需要を想定した立地で、ベッドや浴槽、朝食を重点的に充実させている。会見では、元谷外志雄アパグループ代表は「10満室構想に向け、FCは重要。河野さんとは協調してやっていきたい」と話した。
TKPは貸会議室チェーンの最大手。2005年の設立以来、全国に1451室、10万6031席の会議室を運営する(6月末時点)。建て替えが迫っているビルのフロアなど稼働しにくい不動産を活用する手法で突破口を開き、業容を拡大してきた。アパホテルとの強者連合でさらなる拡大を目指す。
写真・執筆:高杉明