1. 業務提携の背景昨今、日本では世界でも類を見ないほどの急速な高齢化と、社会保障制度の改革によって、高齢者を対象とする産業は大きく成長してきた。増え続ける高齢者人口を支えるために、老人ホームやグループホームなどの民間企業による高齢者向けサービスの需要が高まっている。社会保障が共助から自助へと移り変わりつつある中で、医療や介護を担う民間企業では、社会保障サービスの維持・改善をはかり、高齢化問題に取り組んでいく必要があると考えていると言う。そこで同社では、医療の現場で発生する課題解決のために、鎌倉新書と業務提携を実施した。2. 両社の強み■3Sunny(スリーサニー)医療機関向け業務支援システム「Carebook(ケアブック)」を開発。病院に所属する医療ソーシャルワーカー・退院調整看護師の方々が日々行っている事務作業を効率化し、患者様1人1人に向き合うことにフォーカスできる仕組みを提供。サービス提供開始後、約1年半で都内を中心に170 を超える大学病院や大規模医療グ ループ等の医療機関が導入し、順調に導入が拡大している。「誰もが安心して最期を迎えられる世の中の実現」をミッションに掲げ、医療介護業界における「三方良し」を 目指していくと言う。■鎌倉新書1984年より終活業界において様々なサービスを展開。これまでにインターネットを中心に累計 70 万件を超える相談(2019 年 12 月現在)を受けてきた。35年間にわたり蓄積してきた終活に関わる情報とネットワークを駆使し、高齢者とそのご家族の「お困りごと」の解決を目指していくと言う。3. 業務提携の内容■「ケアブック」の導入を主軸に、退院患者に対する終活領域のサービスのご紹介を開始当社が提供するケアブックが多くの病院に導入・運用されていく中で、病院を通して多くの高齢者の方々から退院後の金銭面・終活に関する相談を受けている。高齢者は、入退院をきっかけに本格的に終活に取り組み始めるケースが多く見られる。お墓の管理や葬儀について、遺言の作成、相続、贈与、不動産の売却、後見人などに至るまで、終活にまつわる様々なお困りごとが発生。年間の退院患者約1000万人のうち、高齢者が全体の70%超を占めており、その数は年々増え続けており、かつ相談内容は多岐にわたる。そこで同社が終活領域のプロフェッショナルである鎌倉新書と提携することで退院時に不安を抱えた高齢者の方々に対し、鎌倉新書の35年にわたり蓄積された知見やネットワークを提供することで、患者の方々が退院後も安心して療養生活を送れるよう支援していく。4. 展望両社の業務提携は、超高齢化社会の日本に於いて政府財源がカバーしきれない国民のセーフティーネットを、民間企業の営利事業として支えていく点で、維持・発展の可能性のある取り組みと言える。今後数十年に渡って更に加速する我が国の高齢化を危機とせず、経済と社会制度の成長の礎にするためにも、民間による 社会保障の補完は欠かせないものであり、我が国の歩む新たな未来にもつながると信じていると言う。