「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」を活用した広域ネットワークにおけるシミュレーション評価では、現行の日本国内のインターネット通信量を最大で約85%削減可能との結果が出ている。2020年の東京五輪に向けて、4K/8K動画配信、VRコンテンツ、ゲーム配信など、今後様々な大容量データが配信されることが見込まれている。しかし、現状のコンテンツ配信ネットワーク(CDN)基盤ではキャッシュ効率が悪く、大容量データ配信普及への課題となっていた。そこで、電通大 吉永研究室とTISでは、大容量データ配信の需要を受けて増大するインターネット通信量を削減し、高速なインターネット基盤を実現するための新しいコンテンツ配信ネットワークの制御技術として、複数キャッシュサーバを組み合わせて利用する「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」を共同開発した。両者では、本技術に関する4件の特許(特願2016-224243、特願2017-105055、特願2017-138406、特願2017-175164)を出願中である。本技術については、「CEATEC JAPAN 2017」(会期:2017年10月3日(火)~ 6日(金)、会場:幕張メッセ)で、本研究成果のデモ機の展示およびセミナーを予定している。TISでは、クラウドが普及する中で「企業ネットワークとクラウド間の通信量削減」や「ネットワーク事業者での設備投資やランニングコスト増」などの課題に対し、本研究成果を活用することで、大容量データ配信普及などに貢献できるサービスの実現を目指す。また、今後も必要となる競争力の高いサービスの開発・展開を目的として、産業と学術の知見を融合した、新しい技術開発に取り組んでいく。