ブラジルやアメリカで不動産STOが行われ始める中で、実際に不動産関係者からSTOやブロックチェーンの応用について学ぶ機会となった。
STOとはSecurity Token Offering(セキュリティ・トークン・オファリング)の略です。STOは、従来の金融商品関連法令に従い、金融商品としてトークンを発行して資金調達を実施し、調達した資金をもとに展開するビジネスの収益を、ブロックチェーンを活用し投資家へ分配することを目指しています。
米国ではSTOの先行事例がいくつかありますが、各国の法規制等の問題もあり、資金調達の手段として浸透するためには、いくつかのハードルも存在します。(中略)
第2回目となる今回は、不動産とブロックチェーンの第一人者である株式会社LIFULLの松坂様をお迎えします。
不動産のトークン化に焦点を当てつつ、不動産STOの課題と可能性に迫ります。ー公式HPより
HP:blockfanz STOセミナー#2(全5回)~不動産のトークン化がもたらすこと~
日時:2019/02/27 (水) 19:00 – 21:15
場所:日本マイクロソフト
中村真人 氏 | JIN KK 代表取締役
最初にSTOの基本の復習として、前回の講師であった中村 真人が講演をおこなった。
インターネット証券の普及した当時を振り返り、類似性を指摘しながらSTOが今後どのような発展していくのか考察した。
https://venturetimes.jp/cryptocurrency/41647.html
松坂 維大 氏 | 株式会社LIFULL ブロックチェーン推進グループ長 / 株式会社LIFULL Social Funding 取締役
松坂氏からは、不動産市場の課題と、STOの可能性についての講演が行われた。
結論から説明すると、以下の3点に対して不動産STOはソリューションになる可能性がある。
・不動産の流動性の低さ
・不動産の非透明性
・日本の空き家問題
まず世界の不動産市場を見てみると、その価値の膨大さに気づく。
・全世界の不動産市場規模=7京円
・全世界の株式時価総額=1京円
全世界の株式時価総額のおよそ七倍に及ぶ市場であり、証券化することで流動性を向上させ効率化はかればより活用することができる。
現状、不動産情報は様々なところに分散してしまっている。近年電子化はされているが、紙ベースかつアナログで情報を管理している所も多い。
情報が分散化してしまうと適切な価格設定ができないなど、様々な問題が発生してくる。
グローバル不動産透明度インデックス2018で日本は14位であり、先進国であまり高くない。
そういった問題を解決するためには、情報を統合することが必要になる。ブロックチェーン技術を用いることで不動産情報コンソーシアムを作るシステムを作り出している。
NRIの試算で2033年の空き家数は総住宅数の20%に及ぶと言われている。
この問題を解決するには、マンションの増築を止めるなど様々な対策が考えられるが、基本的には空き家を用途変更することでしか対応できない。
例えば、空き家を古民家カフェにする。もしくはAirbnbにして外国人に家を貸出。観光客向けインバウンドを目指す、などである。
しかし、民泊に変えるためにリフォームをしたいと思っても最初の資金調達が問題になる。このような場合、銀行は基本的に資金の貸し出しを行ってはくれない。そこでSTOが重要な解決策となると見込まれている。
現状の不動産業界には以下のような課題が存在する。
【資金調達における課題】
・リノベーションのために資金を集める方法はない
・小規模不動産は証券化コストが高くて証券化できない
【流通における課題】
・流動性が低く、任意のタイミングで購入・売却できない
・価格透明性が低く、価格マッチしにくい
不動産業界の課題を見てきた上で、STOは最適なソリューションになる可能性がある、と松坂氏はまとめた。
不動産の証券化は近年注目されているブロックチェーンの活用法の一つとなっている。既存の不動産の不透明性や、流動性の低さを大きく改善するきっかけになるかもしれない。
実際に、ブラジルの投資銀行はブロックチェーンベースのトークンを不動産と連携しSTOを行う予定だ。アメリカでも不動産STOが行われており、トークンを投資家が受け取り、賃料収入や売却益を得られる仕組みになっている。
不動産STOだけでなく、今後ますますSTOは注目を集めていくだろう。今後の動向に注目したい。
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