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ブロックチェーン×WEBメディアは既存のメディアビジネスを拡張する次世代の総合マネタイズ手法 / 注目ベンチャーインタビューSingulaNet株式会社
代表取締役 町 浩二

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ブロックチェーンのコンサルティングから開発、運用までのトータルソリューションを提供する SingulaNet株式会社は2019年12月16日にDIMENSION 株式会社からの出資と、漆原 茂 氏、内野 弘幸 氏、石黒 不二代 氏をはじめとした IT 起業家などのエンジェル投資家を引受先とする第三者割当増資により、シードラウンドでの資金調達を完了したと発表した。

2019年の6月に登記、設立されたSingulaNet社はシンガポールの科学技術研究機関と企業向け最先端の BaaS(Blockchain as a Service)製品の共同開発を行っている。また、博報堂とブロックチェーン技術を活用したテレビ番組のファン育成プラットフォーム「LiveTV-Show(ライブ・ティービー・ショー)」の開発も共同で行っている。

今回の記事ではSingulaNet社の代表取締役である 町 浩二 氏に事業内容と、資金調達の用途、そして今後のビジョンについて伺った。

企業向け最先端の BaaS(Blockchain as a Service)製品の開発

町氏によれば、一般的に言われているBaaS(Blockchain as a Service)とSingulaNet社が想定するBaaSには違いがあるという。

「BaaSでよくあるのは、データベースの部分とシステム連携の部分をBaaSと呼んでいるものです。しかし、その上に載ってくるアプリケーションまで作り込み、認証の部分までブロックチェーンで作り上げてこそBaaSだと考えています。」

同社の開発するアプリケーションとは、具体的に言うとポイント管理とデータ管理になると言う。

「データを流通させ、マーケットでマッチングさせる機能があり、そのマーケットの決済にトークンが使えるようになっています。その際にユーザーはブロックチェーンを意識しなくても使える。ここまでをセットにしてBaaSと呼んでいます。一言でいうとSaaSと同じで、データベースがブロックチェーンなだけだと考えています。」

また、現在は博報堂とコラボして、テレビ局向けの事業にも携わっていると言う。

「現在、博報堂と一緒に事業を行っています。テレビ局の企画で、タレントさんたちがユニットを組んでまして、そのユニットをマネタイズしていこうというものです。弊社はグッズの発行(流通量)と、ポイントをブロックチェーンベースで管理しています。」

ブロックチェーンは総合マネタイズ手法である

町氏は「ブロックチェーン × WEBメディアは既存のメディアビジネスを拡張する次世代の総合マネタイズ手法」だと述べた。

その背景としてメディア業界には3つの大きな課題があると言う。

「1つはYouTube問題で、全て無料で見れるようになってきていること。2つ目が、多くのメディアが出てきてしまったので、コンテンツが飽和し、どこも同じようなコンテンツが見れること。そして3つ目に、海賊版、違法コンテンツも存在があります。」

3つの問題点により、既存のテレビなどのメディアはWEBに参入しづらくなっていると言う。一方でブロックチェーンのメリットにもポイントが3つあり、これによりメディア業界の課題をまとめて解決できるという。

「1つめはコインの発行で、2つめは購入者の権利保護です。そして、最後に収益分配をスマートコントラクトで、関係者の間で自動で分配できます。これをさっきの現実問題を照らし合わせると、無料で慣れているユーザーに投げ銭的に利用料を支払ってもらうことができます。銀行送金だと少額決済が難しいので、ブロックチェーン上で発行されたトークンが優位性を持ちます。次にコモディティ化している現状に対して、ブロックチェーンを使用することで限定性をもたせることができます。そして最後に収益分配を自動にするので、仲介者が不要になります。これら3つを同時に解決できるのがブロックチェーン技術になります。ブロックチェーンは総合マネタイズ手法であり、これがBaaSです。」

調達資金の用途:BaaSの開発と特許の申請

資金調達した資金の用途としては主に以下の2つになると言う。

  1. BaaSの開発
  2. 複数の特許申請

「研究開発の1つとしては、オープンソースブロックチェーン「Ethereum(イーサリアム)」の Proof of Authority Alogism の安定化と高速化を目的とした独自の研究開発をシンガポール科学技術研究庁と共同で実施しています。これは春ごろを目処に学術論文を発表しようと考えており、その発表を元に開発を進めていこうと考えています。」

もう1つは認証技術などを含めた複数の特許申請だ。認証については、シークレットキーの管理が大きな問題になっており、この問題を回避する必要性は極めて高いと言う。

「今はシークレットキーをスマホなどの端末のアプリの中に内包しておいて、認証自体はSNS認証を採用しています。Facebookのメールを入力して、Facebook認証する形をとっているのですが、セキュリティ的に脆弱性が残っていると考えています。なので、独自の認証方式を発明し、特許を申請しています。」

またこの認証以外にも4つ特許を申請しようとしていると言う。3つはメディア関係で、1つはデータマーケット+APIの部分の発明だ。

「ブロックチェーンの中に情報を書き込むときに、個人情報を書き込んでしまうと、みんなが見れてしまいます。なので、個人情報は載せずに、企業内で持つという形をとっています。一方でブロックチェーンは多くの組織で使わないと、従来のデータベース以上のメリットが出しにくい。なので、個人情報の共有が必要になります。この個人情報の公開の手法を特許登録しようとしています。」

今後の方針としては「受託開発のSIer(エスアイヤー)を目指しているわけではなく、BaaSとしてプロダクトを作っていきたいので、いくつかの企業様の共通のニーズにマッチしたアセットを提供していきたいと考えています。」と述べた。

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