「情報産業を司る者にとって一番大守らなければいけないことは、自分自身の身の潔白だ。できないことをできると言ったり、同じサービスを知識のない相手には高い料金で販売し、うるさそうな相手には料金を引き下げたりすることなどは、あってはならない。我々はそのベースをつくるという信念をもっている」。
不動産業界には同様のサービスもあるが、「ESいい物件One」の優位性は安全性と信頼性が認定されたことにある。2014年に、総務省が公表した指針に基づく「クラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示認定制度」で認定を取得。さらに2015年には、総務省が後援する「第9回ASPICクラウドアワード2015」で「社会・業界特化系グランプリ」を受賞した。
中村氏のバックボーンにも触れておきたい。中村氏は、中学・高校の6年間を有名進学校の栄光学園で過ごした。25期生だった。学業成績はまぁまぁだったが、素行の逸脱が著しく、6年間で校長室に呼び出されたのは約15回。開校以来もっとも多く呼び出された生徒と自覚している。自宅には生活指導担当の教師がたびたび訪問してきたという。
当時の校長は上智大学文学部歴史科科長から転じたドイツ人神父のグスタフ・フォス氏だった。フォス氏は、生徒たちにいろいろな例え話をしながら、一貫してこう諭していた。
「やるべきときに、やるべきことを、きちんとやること」。
在校当時の中村氏は、フォス氏の話をそれとなく聞き過ごしていたが、この言葉だけは記憶に残った。社会人になってからは心に響くようになり、いまでは座右の言葉になった。毎年、新入社員にも「やるべきときに、やるべきことを、きちんとやること」と語りかけている。
前編はこちら
不動産業務支援システムをクラウドで提供 導入先は1300法人・3000店 | 『熱中の肖像』vol.32 株式会社いい生活 中村 清高社長 前編
経済ジャーナリスト
小野 貴史