こうして見ると、事業創造プラットフォーム事業はベンチャーキャピタルともコンサルティングとも異なる。比較対象がなければアナリストも評価しにくいのではないか。「現状では評価が難しいようで、eマーケティング事業を展開する子会社のオプトの評価がメインになっている」(鉢嶺氏)という。
事業創造プラットフォーム事業を推進するには、出資先に出向して成長に導ける人材の育成も問われてくるうえに、100人・100社構想で100人の社長を輩出しなければならない。この課題を踏まえて組み立てられた同社の育成システムは、ビジネススクールそのものだ。
グロービス経営大学院等でも講師を務める岡村勝弘氏の協力を得て1年コースの「経営者育成研修」を実施しており、結果本研修を修了した社員が投資先の経営メンバーに就任する例もある。研修は月1~2回実施され、前半はリーダーシップ、マーケティング、ファイナンスなどの知識を学び、後半はケーススタディーを実施する。
この研修には毎年約100人の社員が応募し、選考試験を経て約40人が受講するが、修了試験に合格するのは20人。相当な難関である。VIP倶楽部から上場企業を輩出できたのも、この育成プログラムが大きく寄与したのではないか。
社内起業による独立も「退職してゼロから独立するよりも成功確率が高い」(鉢嶺氏)ことから、今後は重点を置く方針だ。すでに7社が設立され、具体的に上場を目指す会社も誕生している。鉢嶺氏は若い経営者たちに「私が応援したくなる経営者は、世の中をどう変えたいのかという志をもった人。たとえば東証一部上場は小さな目標にすぎず、20~30年後の社会を見据えて新しい産業を生み出すというような高い目標をもってほしい」と提言する。
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時価総額 総計1兆4650億円、雇用者数 総計1万3714人 事業創造プラットフォームで創出した経済効果 | 『熱中の肖像』vol.29 株式会社オプトホールディング 鉢嶺 登社長 前編
経済ジャーナリスト
小野 貴史