「事業売却においては、自社に圧倒的なアドバンテージがあります。その事業の裏表を知り尽くし、シビアな評価ができるのは自分たちだからです。例えば、自社独自のシビアな視点で将来性がないと感じた事業でも、世間的に評価されていれば、高値で売り抜けることもできます。とはいえ、苦労して育ててきた事業を手放すのはつらいものです。愛着もありますしね。しかし、そこを冷静に判断して売り時を見誤らないのが、経営者の資質だと考えています」
アエリアは、中期的な経営戦略としては、オンラインゲーム事業をメーンとする方針だ。「ゲームの世界では、プラットフォームの変更が大きなビジネスチャンスになります。当社はそうした変更を経験し、対応するノウハウも蓄積しているので有利なのです」と、長嶋会長は自信をのぞかせる。
ただし、オンラインゲーム以外の事業ももちろん、虎視眈々と狙っているそうだ。
「過去の成功体験にとらわれず、チャレンジする価値を見い出すことができるのであれば、リスクを冒しても攻略する。それが私の信念です。信念を持って真面目に事業に取り組んでいれば、人材もノウハウも集まってきますし、チャンスを見極める眼力も養われていきます。カードを着々と集めておいて、チャンスが到来したときに切ればいいのです」
長嶋会長は、『フロー体験・喜びの現象学』という学術書を愛読していて、「苦しみをどうやったら楽しみに変えられるのかということを、その本から学びました。企業経営では苦労も多いのですが、そうした術を身につけることも経営者には必要です」と語る。「企業の規模は、経営者の事業構想よりも大きくなることはありません。例えば、経営者が売上高20億円を必死で目指さなければ、10億円の達成も難しいでしょう。経営者は志を高く持たなければなりません」と、長嶋会長は起業家予備軍にエールを送った。
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誰でも気軽に楽しめるオンライン無料ゲームを強化 スマートフォンの普及を追い風に、事業が急成長 | 『熱中の肖像』 株式会社アエリア 長嶋貴之会長 前編