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新規事業は社員が起案、マウンドに立つことで社員は育つ!! / 熱中の肖像インタビュー後編トレンダーズ株式会社
代表取締役社長 岡本 伊久男

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新規事業はすべて社員が起案した

野球ファンの岡本氏は、投手にたとえて自社の現状をこう語る。「150キロのストレートを投げ続けてきた投手も、30歳ぐらいになると複数の球種を投げ分ける投手に変身する。当社はその時期に直面しているので、戦い方を変えなければならない」。

現在は同社の売上高の90%以上をマーケティングPR事業が占めているが、この状態のまま10年後に向かった場合、何倍もの事業規模へと発展できるのか。あるいは世間に必要な企業であり続けられるのか。かりに黒字を持続できても、この売上構成比のままならそれは成功とはいえない。岡本氏はそう認識している。

転換策として着手したのが①ギフトECサービス「Anny now」②訪日外国人向けメディア「ZEKKEI Japan」③ゲーム実況に特化した動画プラットフォーム「プレイム」-の新事業である。3つの事業はすべて社員が起案した。ビジネスモデルの転換だけでなく社員の意識転換も意図して、岡本氏は「私は起案しない」と宣言し、社員に起案させたのである。

「起案した社員たちが、『何が何でも形にする』と必死になってコミットできるかどうか。それを役員会でジャッジして選定した」。

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ここ一番のマウンドに立つことで社員は育つ

社員の成長と企業の発展は相関関係にあるが、とくにベンチャー企業ではその関係が明瞭である。岡本氏も「ベンチャー企業の一番の原動力は人のバイタリティー。チャンスに対して『命を賭けます』という社員が組織にガソリンを入れてくれて、そこに火を点けることが最も重要だと思っている」と話す。

それは、背水の陣に追い込むような経験を積ませることでもある。「『打たれたら絶対にいけないが、投げ切れば必ず勝てる』というタイミングでマウンドに立たせることが、社員を成長させる」。野球にたとえる岡本氏の説明は、実態をイメージしやすい。

岡本氏の風貌には30代のような若々しさがあるが、来年1月に46歳になる。20代のときには達成したいことや欲しいものがたくさんあったし、何よりも自由を欲する気持ちが強かったが、年を重ねるにつれ、やがて絞られてきたという。今なお褪せることのない思いは、自分の心のままに自由に生きることだ。

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「たとえ大金を積まれても、NOならNO。大切な仲間をいつでも助けられる自由も持って生きたいと思う」。

「自分の人生は自分で決めれば良い。自分の決めたことに強い意志を持って取り組めば2度のIPOだって夢じゃない」。岡本氏は、ソフトだが毅然とした口調で締めくくった。

前編はこちら

取材・文/経済ジャーナリスト 小野貴史

インタビュアー

株式会社KSG
細川 和人