本記事ではPwCの公表したレポートの概要をお送りする。
・ICOとSTOの概観
・STO、資産のトークン化について
・各国のSTO周りの規制環境
・STOのために必要なインフラストラクチャのレベルアップ
2018年にはICOとSTOの合計で1132件の資金調達が行われた。これは2017年のおよそ二倍になる。
資金調達額も2017年に比べて3倍まで上昇(およそ200億ドル)した。しかし、2018年の調達額の29%を占めたのは2つのICOであった。それは、Eosで41億ドル、Telegramで17億ドルである。2018年後半にはICOもSTOも市場は一気に冷え込み、ICOからSTOへの転換と仮想通貨業界の冬を経験した。
PwCのレポートによるとICOとSTOは大差がないという。基礎となるトークンが配当や株式を含むさまざまな経済的権利を提供するICOの「より成熟し規制された形」とされている。
STOは「投資家の参入障壁の低さ」や「伝統的なベンチャーキャピタル[そして]プライベートエクイティ資金調達の特徴」を含む「「ICOの多くの特徴を組み合わせた」である。
資産のトークン化(すなわち、ブロックチェーンシステム上で資産をデジタルトークンに変換するプロセス)もまた別の傾向である。商品のトークン化(金、石油など)から無形商品のトークン化(音楽権など)へと拡大を見せている。
トークン化のメリットとしては、以前まで投資対象とならなかったものもトークン化することが可能である。また、24時間いつでも取引可能なため流動性の向上が可能になり、またコストも低くなる。ブロックチェーン技術のトレーサビリティを活用することで、所有権を確認することもできる。
世界的な傾向として、既存の証券規制を「STO規制のフレームワーク」として活用している。ここではヨーロッパの数カ国に注目している。
スイスの規制当局であるFINMAは、ユーティリティ・トークン、ペイメント・トークンとアセット・トークンの三種類を定義。アセット・トークンに基づくICOのことをSTOと定義している。
アメリカの規制当局であるSECはICOによって配布されたトークンを証券と考えている。ハウイーテストは証券を定義するのに活用される。州ごとの法律がSTO規制を補助している。
リヒテンシュタインは2019年の第一期にトークンを用いた資金調達に関する規制を含む、「ブロックチェーン法」を制定。規制当局は企業と協力してSTOを行う予定。
規制当局であるBeFlnは仮想通貨を金融商品としてみなしている。規制当局は2019年第一期にドイツ初のSTOを承認した。
規制当局であるEFSAはユーティリティ・トークン、セキュリティ・トークンとドネーションの3種類に分類。投資家に発行体の権利を付与するか、利益と結びつける機能を持ったトークンをセキュリティ・トークンと定義している。
STOが完全に規制されるようになるにつれて、対応するインフラストラクチャは「レベルアップ」する必要がある。さらに、柔軟なカストディソリューション、市場データサービス(MDS)、信頼できる評価サービス、品質調査、技術標準、APIなど、追加のサービスが市場参加者によって要求される。
STOのさらなる発展のために以下のようなインフラストラクチャの構築が必要になる。
規制された証券取引所は仮想通貨の取扱を開始し、仮想通貨の取引所は規制当局の承認を得て、STOを実施可能にする必要がある。
世界的に24時間利用可能であり、非常に高いセキュリティを持つことが非常に強く求められている。
仮想通貨の市場にとって、市場データはとても重要になっていく。
信頼可能な仮想通貨リサーチとランク付けはまだまだ未熟だが、ICOからSTOに変遷するに当たり非常に重要になってくる。
参照元:
4th ICO and STO Report – growing less, but growing up
Coindesk
STOについて詳しく知りたい方はこちら
記事執筆:塚田愼一
当サイトに掲載されている情報は、プロジェクトの概要をご理解いただくことを目的として、細心の注意を払って掲載しておりますが、その正確性、完全性、有用性、安全性等について、一切保証するものではありません。
当サイトに掲載されている情報のうち、法令について記載したものがありますが、当サイトは、利用者に対し、法的助言を提供するものではなく、また、弁護士資格を有する者が執筆・監修したものではありません。その正確性、完全性、有用性、安全性等について、一切保証するものではなく、法的事項については、弁護士資格を有する方に御相談ください。
当サイトに掲載されている情報は、いかなる情報も投資活動の勧誘や特定のプロジェクトへの投資の推奨等を目的としたものではありません。
投資等に関する最終ご判断は、読者様ご自身の責任において行われるようお願いいたします。
なお、本情報を参考・利用して行った投資等の一切の取引の結果につきましては、当社では一切責任を負いません。
当サイトに掲載されている情報のうち、過去または現在の事実以外のものについては、執筆時点で入手可能な情報に基づいた当社の判断による将来の見通しであり、様々なリスクや不確定要素を含んでおります。
つきましては、実際に公表される業績等はこれら様々な要因によって変動する可能性があることをご承知おきください。