シンガポールにおけるSTO規制環境と免除規定について徹底解説

トークン化、つまり会社の株式や物的資産などの原資産からデジタルトークンを作成するプロセスは、金融市場の変革者として考えられており、セキュリティトークンを活用したSTOは注目を集めている。
STOやセキュリティトークンの仕組みについてはこちらをご覧いただきたい。
今回は仮想通貨友好国と言われるシンガポールがSTOに対してどのような方針をとっているのか、その規制と免除規定について詳しくみていく。
仮想通貨友好国:シンガポール
シンガポールはアジアにおいて仮想通貨に対して非常に友好的な国の一つである。2016年に、金融庁であるMonetary Authority of Singapore(以下MAS)は、より広い仮想通貨の活用を期待して、プロダクション環境で実験的な製品とサービスを実行するために規制のサンドボックスを立ち上げた。
その後、金融当局は、株式や債券などの証券の代替として発行されるトークンが証券先物法によって規制される可能性があるため、「デジタルトークンオファリングのガイド」をリリースしている。
申請者は、MASに登録し、目論見書の要件を通してその財務情報を開示するという伝統的な手段を経るだけでSTO(セキュリティトークンオファリング)を実施することができる。政府が「デジタルトークンオファリングのガイドラインを発表したことは、シンガポール政府の仮想通貨に対する肯定的な立場を表明しているだろう。
シンガポールにおける仮想通貨規制の変遷
2014年3月の時点で、シンガポールの金融規制当局であるMASは、仮想通貨は規制されていないと述べていた。
しかし、MASは、仮想通貨(交換媒体、勘定科目、または価値の保存場所として機能する)を、デジタルトークンの特定の1つのクラスとして見なすことも明らかにした。
デジタルトークンが発行者の資産または財産に対する所有権または担保権を表す場合、そのようなトークンは証券先物法(SFA)の下で株式としての資格を得ることが可能となる。
2017年11月に、MASは、シンガポールのデジタルトークンおよび仮想通貨のオファーまたは発行に対して行われるシンガポール証券規制に関する追加のガイドを発行した。
MASの見解では、デジタルトークンがSFAの下で資本市場商品のカテゴリーの1つに該当する場合、シンガポールでのデジタルトークンの提供/発行は規制される可能性が存在する。
資本市場商品のカテゴリーには、証券、先物契約、および外国為替取引またはレバレッジ外国為替取引を目的とした契約または取り決めが含まれる。
上記のカテゴリーの1つに分類されると、仲介者が活動を継続することができるように規制免許を保持する必要がある。この場合の仲介者とは、デジタルトークンまたは暗号通貨の提供または発行を容易にする仲介者のことであり、デジタルトークンの発行または発行を行うことができるプラットフォームのオペレータ、取引所および類似のプラットフォーム、ならびにデジタルトークンまたは仮想通貨に関して金融アドバイスまたは資金管理サービスを提供する人などのことである。
シンガポールの法律に準拠していることとは別に、シンガポール以外の投資家にデジタルトークンを販売する場合、トークンの販売は、それぞれの投資家の居住する区域の法律にも準拠している必要がある。
シンガポールがSTO(セキュリティトークンオファリング)において重要な理由
シンガポールは国際的なトークン産業において重要なプレイヤーのひとつであり、金融とブロックチェーンビジネスのハブとしての立場を担っている。ICOとSTOに対して明確な規制の枠組が存在し、税金も低いため、世界的に観てもSTOを実施したい人々にとって好ましい環境が整っている。
シンガポールでも証券としてトークンが扱われた場合、既存に規制の対象になるため、アメリカやヨーロッパと同様に目論見書を作成する必要がある。しかし、目論見書の作成は時間と資金のコストが高いため、免除規定を利用する場合も存在する。
シンガポールにおけるSTO(セキュリティトークンオファリング)の免除規定
証券先物法(SFA)に基づき、発行者は以下の要件の下で目論見書の発行から免除されることがある。
• STOが小規模(個人的)なものであり、12ヶ月の間に500万ドル(円)を超えない場合
• STOが12ヶ月の間に50人以下から資金調達を行う個人的なものの場合
• STOが 機関投資家に限られる、もしくは
• 適格投資家に限られる場合
シンガポールのSTO規制環境:まとめ
シンガポールはデジタルトークンオファリングのガイドを国として発表するなど、STOを行うにあたって規制の枠組みが出来上がっており、理想的な環境が整いつつあると言えるだろう。実際にシンガポールではSTOが行われることが多く、資金調達の方法として広まりを見せているという。今後各国の規制がどのように制定されるかが議論される中で、シンガポールは重要な役割を果たすだろう。
参照元:
A GUIDE TO DIGITAL TOKEN OFFERINGS
Singapore STO Security Token Offering Lawyer Law Firm
How to Launch STO? Security Token Offering
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記事執筆
塚田愼一
