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STO(セキュリティトークンオファリング)市場を活性化させるために、従来の金融機関と分散型台帳技術を繋ぐ!

POLYMATH INC 事業開発部門幹部 Heslin Kim

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みなさんはSTO(セキュリティトークンオファリング)という言葉をご存知だろうか。STOとは従来の株や債券などの有価証券等をトークン化して、資金調達をより合理的に行うものだ。ブロックチェーン技術を使用することで、既存の金融市場の業務の効率化と安全性の確保がメリットとして挙げられている。

今回はセキュリティトークンの発行企業で最も注目を集めるPolymath社の事業開発部門幹部 Heslin Kim氏にお話を伺った。

ブロックチェーンに関わるようになったきっかけは?:友人のスタートアップに参加

ブロックチェーン、仮想通貨とは2013年にオンラインポーカーをやっている中で出会いました。友人がBitcoinを持っていたことでその存在を知ったのですが、その時点では知識がありませんでしたし、ウォレット機能が安全なのか不安もありました。本格的にブロックチェーンに関わるようになったのは、4年後の2017年からです。

韓国にBitcoinやイーサリアムのコーディングを行っていた友人がおり、その友人が2017年にProof Suitというブロックチェーンを活用したスタートアップを起業しました。私はちょうど、前職をやめたタイミングだったので、彼の企業に参加することになったのです。

私はカスタマーリレーションとトークンエコノミクスの代表としてProof Suit社に参加し、そこで1年と数ヶ月働きました。同社は仮想通貨のブルームバーグを作ろうという取り組みでして、その会社にいる間、私自身が仮想通貨について学ぶ必要がありました。そこで様々な企業のホワイトペーパーを熟読し、ブロックチェーンについて学びを深めていきました。

そして皆さん御存知の通り、2017年に仮想通貨市場が盛り上がりを見せたのです。私は韓国にいたので、仮想通貨市場の熱を非常に強く感じることが出来ました。ブロックチェーンに関する知識を身に着け、市場に熱気もあったことから、仮想通貨関連のイベントを実施し、PRも行える企業が必要なのではないではないかと考えました。そして立ち上げたのが現在も在籍しているBlockchainROKという企業です。

ブロックチェーン関連のイベントを20〜50人の規模から始めて、段々と500人くらいの規模までイベントが盛り上がったと思います。2018年3月には大規模なカンファレンスを実施するに至りました。Polymath社がこのカンファレンスについて耳にして、そこから韓国市場についての相談を受けるようになったのです。そのご縁でマーケティングなどの分野で同社に協力するようになりました。

既にPolymath社に1年半以上在籍しておりますが、友人のスタートアップ企業から移籍したのは非常に良い選択だったと思っております。前に在籍していた会社はトークン化も行っておりましたので、競合分析をする中で、10ページに及ぶPolymath社の調査レポートを作っていました。なので、Polymath社と対話していくなかで「なんでこんなに知っているの?」と驚かれたことを覚えています。

そのような経緯で、同社のアジアマーケットの拡大に協力するようになりました。韓国、台湾、タイ、など13カ国以上のアジア地域の成長戦略を私が一人で担っています。製品の発展とブランディングに寄与できていること、また各国の規制当局と直接にやりとりができるのは素晴らしい経験だと思っております。

STOのメリットとは?:「透明性」と「グローバルな取引」が強み

勘違いされる方が多いのですが、資金調達の分野でセキュリティトークンは新しい価値を生みだしているわけではありません。むしろ従来の金融と比較して見た時に、セキュリティトークンの主なメリットは、会社の株を誰が持っているのかをクリアにできることや、配当の支払いが自動化されることなど、管理の面で大きな価値を提供することです。

ブロックチェーンを使わなくても管理を簡便にすることはできますが、分散型台帳技術の良いところは過去の改ざん耐性です。従来の企業で発生していた悪徳行為を隠すことなく、トークンホルダーに全ての情報を開示しなくてはいけません。

しかし「透明性」というのは大きなメリットではあっても、短期的なメリットでしかありません。

長期的には、グローバルな取引、投資を可能にすることが大きなメリットになります。より幅広く世界中のプロジェクトに投資でき、また資金調達を行う企業も世界中から資金を調達しやすくなります。

また、ブローカーディーラーなどの仲介者が不要になり、流動性と24時間の取引が可能になることもメリットです。

短期的、長期的に上記のメリットがありますが、最も重要な問題はプライマリーマーケット(一次発行市場)にあります。

STOがより発展していくには?:現在のセキュリティトークン市場の課題はプライマリーマーケット

多くの発行者や取引所が存在していますが、発行者に資金はなく、取引所に上場しているプロジェクトは少ないです。

まず、セキュリティトークン取引所は非常に需要があると思われていますが、まだ時期尚早です。最大規模のオープンファイナンス社でもまだ7,8トークンしか取り扱われていないと思います。つまり、すでに発行されたトークンはまだ流通する準備ができていません。売る人もいないですし、買う人もいないので市場が膠着しています。

そこで一次市場が重要になってくるのですが、上手くいかない理由として、投資家の関心がセキュリティトークン市場に向いていないということがあげられます。加えて、ICOで詐欺が横行した過去があるために、投資家は仮想通貨を疑問視している部分もあります。

しかしPolymath社は将来的にメリットが大きいと考えているので、現在開発に取り組んでいます。なぜポリマス社がSTO市場の将来を確信しているかと言うと、既存の金融市場がすでに有価証券のトークン化を目論んでいるからです。

なぜPolymath社はSTOに注力するのか?:既存の大手証券取引所の多くがSTO関連企業に多額の投資

既存の証券取引所の中で大手であるNASDAQ、ロンドン証券取引所がセキュリティトークン企業に投資しており、直近ではユーロネクストがTokenyにおよそ600億円投資しています。香港やシンガポールも含めて、世界中の証券取引所はトークン化に注目しています。

STOマーケットは現状、主に株式に注目しています。しかし、市場規模が大きいのはボンドやデットの方です。市場規模を比較するとUSボンドマーケットがおよそ40兆ドル、USストックマーケットはおよそ12兆ドルです。つまり、ボンドのほうがストックマーケットよりも大きく、毎日約7000億ドル相当のボンドが動いています。(インタビュー時のデータ)

Polymathは現在、株式市場に注目していますが、今後はボンドやデットに注力していくと思います。注目が集まれば、これらのトークン化市場はもっと大きくなっていくでしょう。

独自ブロックチェーン「ポリメッシュ」を作成するに至った理由とは?:規制当局との対話の中で課題を発見

証券に特化したトークン設計のために「ポリメッシュ」を作りました。規制当局、金融機関と話し合っていく中で、彼らの求めに応じるにはイーサリアムや他のブロックチェーンでなく、独自のブロックチェーンを作る必要を感じたからです。

「ポリメッシュ」を作る上で参加していただいたのがチャールズ・ホスキンソン氏です。チャールズ・ホスキンソン氏はイーサリアムの設計段階から関わっており、新しいセキュリティトークン向けのブロックチェーンを作る時に最も重要な人物でした。もともとPolymathのセキュリティトークンがイーサリアム上で発行されてきたことや、弊社の創設者の一人であるトレバーがチャールズ・ホスキンソン氏と親しかったことが理由となり、参加していただきました。

一点補足なのですが、開発者としてチャールズ・ホスキンソン氏に参加いただいておりますが、IOHK、CARDANOなどのプロジェクトとは全く関係ないことをここで述べさせていただきます。

日本のマーケットの注目度は?:世界を牽引する可能性がある

日本はアジアの金融市場で一番大きいマーケットの一つであり注目されています。現在、日本の大きなプレイヤーは積極的にセキュリティトークンに関わり始めていますし、今後はデットのマーケットでも日本は世界を引っ張っていくでしょう。

世界中のどこの国でもSTOを実施しようとすれば、規制が壁になります。日本の規制当局は用心深いけれど、枠組みを早く作り始めているので、そこが面白いです。日本でSTOが認められることがあれば、アジアの状況が一気に変わってくると期待しています。

Polymath社の今後のビジョンとは?:「従来の金融機関とDLT(分散台帳技術)をつなぐ」

Polymath社のビジョンとしてはやはり「従来の金融機関とDLT(分散台帳技術)をつなぐ」ことです。今まで恩恵を受けられなかった人に恩恵を与え、全ての参加者にテクノロジーを提供できる企業になっていきたいと思っています。そしてテクノロジー提供者として、ビジョンを達成するには業界全体を発展させなくてはいけない。

だからこそスマートコントラクトやプログラミングがオープンソース化されて、みんながマーケットを盛り上げていけるようにしています。そして、セキュリティトークン市場が活発化されていくことを願っておりますし、Polymath社としてもその発展の牽引者になれればと思っております。

Polymath公式サイトはこちら

インタビュー・記事執筆・写真
塚田愼一