カヤックがブレストで重視するのは、何よりも数を出すことである。たとえば1時間に100本のアイデアを出すという指標を設け、年2回、朝から晩まで8時間実施すると、社員はブレスト体質に転換する。数を出すプロセスでは、不平や不満が介在する余地は発生せず、つくる人の側、面白がれる側に体質が変わってゆく。
実際、柳澤氏が社員たちと食事をしても、愚痴の類いはほとんど聞かれず、「どうすれば会社を良くできるかという話題になる」。年2回、8時間のブレストを実施するだけで、社員がポジティブに変化しているのだ。
「この変化を見て、たとえ有効なアイデアが出なくとも、ブレストは経営理念にかなっていることがわかった。これからも毎年2回行ないつづける」。
柳澤氏はそう明言する。経営理念の実践に忠実であれば、それが体質となって、持続的な成長力を培う。カヤックでは、このサイクルが見事に廻っている。