【随時更新】日本でも注目を集めるSTO(セキュリティトークンオファリング セキュリティトークン)最新動向まとめ
STOとはなにか? まず最初にSTO(セキュリティトークンオファリング)の「セキュリティ」とは、「証券」の意味である。従来の株や債券などの証券管理にブロックチェーンを用いたものであり、既存の業務の大幅な効率化が見込まれて […]
セキュリティーには「証券」という意味があり、STOとは「有価証券の機能を付与されたトークンによる資金調達」ということになる。
STOのマーケットは1兆ドル規模になるとまで言われており、2019年から2020年にかけて最も注目される分野の一つである。InWara社のレポートによると、すでに2019年Q1だけで47件のSTOが行われ、1億2200万ドルの調達が行われた。
STOを理解する上で、前提として昨年まで盛り上がりを見せていたICO(イニシャル・コイン・オファリング)について理解する必要がある。
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは、資金調達したい企業やプロジェクトが、独自の仮想通貨を発行し、資金調達する手段のことである。株式を利用したIPOとは違い、規制当局への登録が不要であり、議決権の付与を行う義務もなかったために、その簡便さから新たな手段として、特にスタートアップ企業から注目を集めていた。Coindesk社のレポートによると、2017年にはVC(ベンチャーキャピタル)による投資の295m$を超える、327m$がICOによって調達された。
しかしICOには様々な問題があった。
まず1つ目の問題としてはスキャムの存在が挙げられる。
前述したようにICOは規制当局に登録する必要がなく、規制も行われていなかった。投資家保護もほとんど行われておらず、多くの詐欺プロジェクトなどが存在した。詐欺プロジェクトによる被害が拡大する中で、投資家保護、規制の必要性が声高に述べられるに至ったのが背景にある。
もう一つの理由として、本来エコシステム運営に利用されるはずのトークンが、投機的価値を強く持っているのが問題とされた。投機的価値を持つトークンは本来は金融商品の扱いになり、規制当局の適切な規制を受けなくてはならない。米国の規制当局SECはによれば、ICOで発行されたトークンの殆どは金融商品であり、違法であるということになってしまう。
ゆえに「投機的な価値を持つ」トークンは、既存のルールに従い、「金融商品」として発行しよう、というのがセキュリティトークンであり、STO(セキュリティトークンオファリング)である。
セキュリティトークンを一言で表現すると「有価証券の機能を付与されたトークン」である。取引可能な資産(株式に似たもの「会社の所有権」「配当」)に裏付けされた通貨であり、SEC(米国証券取引委員会)のHowye test(ハウイテスト)の要件を満たす必要がある。
米国SECとスイスのFINMAはトークンを大きく2つに分類した。
ユーティリティトークンは単に製品やサービスをユーザーに提供する。例えばイーサリアムは、スマートコントラクトを動かすために払われるGASと呼ばれる手数料の支払いに利用されるため、ユーティリティトークンと見なすことができる。
ほとんどのICOは会社自体への投資機会であるため、大部分のトークンは証券としての資格がある。ただし、トークンがHoweyテストに準拠していない場合は、ユーティリティトークンとして分類されることになる。
Howeyテストの要件は以下の4点にまとめられる。この要件に該当した場合はセキュリティトークンとして扱われることになる。
ICOと違い、従来の厳しい法律にのっとってSTOが実施されるので、投資家は安心して投資をすることができる。また、セキュリティトークンの取引をグローバルに管理するようなスマートコントラクトをコーディングすれば、企業は法とコンプライアンスに準拠した取引を常に保証できるようになる。
仮想通貨取引所は24時間運営している。一方で従来の証券市場は改善されてきてはいるものの、複雑な取引が行われ、取引可能な時間も限られている。ブロックチェーンを利用して従来の証券市場を大きく変更し、今の仮想通貨取引所と同様に24時間の取引が可能になることで流動性が向上することが見込まれている。
スマートコントラクトであらかじめプログラミングを組み込んでおくことで、必要な規定が守られているかを自動で管理することができる。
今までの証券市場ではディーラーなど様々な仲介者がプレイヤーとして参加していたが、それらの仲介をなくすことで大幅にコストと時間を削減することができる。
金融資産を分割すると管理コストが上がってしまうために、分割はあまり行われてこなかった。それにより多くの投資機会が失われたことになる。しかしセキュリティトークンを用いて資産をトークン化することで、従来取扱のできなかった小さな単位の所有権の分割を行うことができる。例えば不動産、アートの分野が注目を集めており、アメリカやスイスで事例ができつつある。
SECなどの規制の管理下に置かれるため、従来のICOにあったクラウドファンディング的な良さは失われる。
またSECは一定以上の年収、資産を持っていないと投資できないという規制があるため、投資に参加できる人の門が狭くなる可能性がある。
金融商品になるということは、各国の法令に従うことが必要となる。現状法令は統一がとれておらず、国ごとの基準を今後統一、もしくは新たな枠組みを作り上げていく必要がある。そのため今後、時間、金銭的コストがかかる可能性がある。
現在STOは発展段階だが、すでに様々な企業がSTOに関連するプロジェクトを立ち上げ、動きを見せている。そのうちのいくつかを有名な企業をご紹介したい。
Polymath(ポリマス)社は、セキュリティトークンの取引、投資家の認証、合法的な代理人との連絡、および開発者の市場へのアクセスのための手段を提供する。
2019年5月に行われたConsensus2019において、ポリマスは独自のブロックチェーンを開発することを発表した。この独自のブロックチェーンはPolymeshと呼ばれ、イーサリアムとカルダノの創業者の1人であるチャールズ・ホスキンソンとともに開発される予定である。詳しくはこちら
Securitize社は、発行者とそのチームの法的および規制対応の確立、KYC / AML認定またはその他の法的要件に準拠した投資家登録の合理化、発行者独自の要件とセキュリティトークンデータに合わせたスマートコントラクトのカスタマイズなど、いくつかのサービスを提供する。
2019年5月にSecuritize社は同社の核となるデジタルセキュリティ(DS)プロトコルをオープンソース化することを発表した。発表によるとオープンソース化によってセキュリティトークン市場をより発展させることを目的としている。
詳しくはこちら
2019年9月:三菱UFJ、野村HDなどがセキュリタイズに出資:証券のトークン化が加速
2019年11月:
日本のMUFGがセキュリティトークンに関するコンソーシアムを結成:米国Securitize社も参加
SBIは米国のセキュリティトークンの開発、運営を行うSecuritize社に投資したことを発表
2020年2月:
ソニーフィナンシャルベンチャーズがSecuritize社に投資
Overstock.comの子会社であるtZEROは、資本市場向けのさまざまなブロックチェーン対応ソリューションの開発に注力している。2019年1月末にはセキュリティトークンの二次取引を行うことができる取引所を開設した。
2019年の5月9日、セキュリティトークン取引所であるtZERO社がセキュリティトークン発行体であるSecuritize社の保有する DS プロトコル という技術を導入すると発表した。
また、弊社はtZEROに独占インタビューを行っている。詳しくはこちら
2019年10月:
tZEROはAllianceと提携:約700億円相当の不動産のトークン化を今後数年かけて行うと発表
2019年10月01日:証券各社が「日本STO協会」設立を発表:代表理事はSBI北尾氏
2019年10月30日:レヴィアス株式会社、日本初の株式型セキュリティトークンを用いた第三者割当増資による資金調達「J-STO(Japan Security Token Offering)Equity」の払込手続き完了を発表
2019年11月07日:日本のMUFGがセキュリティトークンに関するコンソーシアムを結成:米国Securitize社も参加
2019年12月26日:日本初、レヴィアス株式会社は自社開発技術によるセキュリティトークンを通じた資産の譲渡(セカンダリ取引)が実現したと発表
日本のSTO事例についてはこちらにまとめてあるので、ご参照いただければ幸いである。 【随時更新】日本でも注目を集めるSTO(セキュリティトークンオファリング セキュリティトークン)最新動向まとめ STOとはなにか? まず最初にSTO(セキュリティトークンオファリング)の「セキュリティ」とは、「証券」の意味である。従来の株や債券などの証券管理にブロックチェーンを用いたものであり、既存の業務の大幅な効率化が見込まれて […]
STOの要点は以下の3点である。
STOは今後大きく発展する市場の一つとされている。既存の金融市場にブロックチェーンを組み込んだものになるため、今後の金融市場の動きや政府の規制などが重要になってくるだろう。日本国内においても規制の枠組みが発表されたばかりである。各国の今後の取り組み、動向に注目したい。
記事執筆
塚田愼一
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